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アパレル業界におけるラウンド仕上げとは?

アパレル業界の分野におけるラウンド仕上げ(らうんどしあげ、Round Finish、Finition arrondie)とは、衣服の裾や襟元、ポケット口などの縁取り部分を角張らず滑らかに丸く仕上げる縫製・加工技法を指します。視覚的な柔らかさや優雅さを演出できるのが特徴で、シャツやブラウス、コートなどに多用されます。直線的なラインに比べてフェミニンで親しみやすい印象を与えるため、レディースウェアを中心に採用されることが多く、ディテールの美しさが重視される場面でも活躍しています。

ラウンド仕上げの定義と特徴

ラウンド仕上げとは、衣服のパーツの端部分を直線的に仕上げるのではなく、曲線的に丸みを持たせて処理する手法の総称です。代表的な例としては、シャツの裾を前後で丸くカーブさせた「ラウンドヘム」や、ポケットのフラップ、袖口、襟元のカーブ加工などが挙げられます。

この仕上げ方法は、服のシルエットに柔らかさや動きを与えると同時に、着用時のシワを軽減する実用的な利点もあります。また、角を持たないことで全体の印象が優しくなり、特にフェミニン・ナチュラル・クラシックといったテイストにマッチしやすくなります。

言葉の由来と歴史的背景

「ラウンド仕上げ」という言葉は、英語の「round(丸い)」と日本語の「仕上げ(完成処理)」を組み合わせた和製英語的な表現です。フランス語では「finition arrondie(フィニション・アロンディ)」と訳され、同様に縁を丸く仕上げる技法を意味します。

歴史的には、手縫いやミシン縫製が普及した19世紀以降、より装飾性と機能性を両立する縫製技術として発展しました。特にシャツ文化が根付いた欧米では、裾の形状による差別化が早くから行われ、ラウンドヘムはドレッシーかつ実用的なディテールとして定着していきました。

日本においても、20世紀中盤から高級シャツや婦人服を中心に採用が進み、クラフト感や細部へのこだわりを表現する手段として広まりました。

現代における使われ方とバリエーション

現代では、ラウンド仕上げは、視覚的なやわらかさと高級感を演出する技術として幅広く用いられています。シャツやブラウスでは定番の裾形状として認識されており、カジュアルにもフォーマルにも応用されています。

また、ポケットフラップやカフス、襟の端部分など、部分的なラウンド処理も人気で、直線的なデザインに比べて優しさや女性らしさを表現する上で有効とされています。最近ではメンズウェアにもこの技術が取り入れられ、モード感や洗練された印象を強調する手段としての役割も果たしています。

加えて、ラウンド仕上げは立体裁断や曲線的パターンと組み合わせることで、より身体のラインに沿ったナチュラルなフィット感を生み出し、着心地の向上にも貢献します。こうした背景から、量産品からオーダーメイドまで幅広い価格帯の衣料に採用されている点も特徴です。

まとめ

ラウンド仕上げは、衣服に優雅さ・親しみやすさ・機能性を加えるための重要なディテール技法の一つであり、特にディテールにこだわる現代のアパレル設計において欠かせない存在です。丸みを帯びたラインがもたらす視覚的効果と実用性の融合は、今後もあらゆるスタイルに応じて発展し続けると考えられます。

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