アパレル業界におけるワイドニットとは?
アパレル業界の分野におけるワイドニット(わいどにっと、Wide Knit、Maille ample)とは、身幅が広くゆったりとしたシルエットが特徴のニットウェアのことを指します。一般的なフィット感のあるニットに比べて、体のラインを拾いにくく、リラックス感や抜け感のあるスタイリングが可能です。オーバーサイズやビッグシルエットと近しい概念でありながら、編み物特有の柔らかさとドレープ性により、ラフさとエレガンスを両立したアイテムとして人気を集めています。季節を問わず幅広い素材とデザインで展開され、ジェンダーレスかつ年齢を問わない着こなしが可能です。
ワイドニットの定義と特徴
ワイドニットとは、ニット素材を用いた衣服のうち、肩幅や身幅、袖幅にゆとりをもたせたシルエットのデザインを指します。基本的にはトップス(セーター、カーディガン、プルオーバーなど)に多く見られ、着用時に体のラインを強調しすぎず、自然な落ち感を楽しむことができます。
そのため、着心地がよくリラックスした印象を演出できるだけでなく、体型カバーやレイヤードスタイルにも適応しやすい点が支持される理由の一つです。ワイドなデザインでありながら、編み目の工夫や素材によって、上品で大人っぽいニュアンスも表現できます。
言葉の由来と歴史的背景
「ワイドニット」という言葉は、「ワイド(Wide)」=幅広の、「ニット(Knit)」=編み物、という英語の単語を組み合わせた比較的新しい造語です。明確な定義があるわけではなく、トレンドの一環としてのビッグシルエットの流れの中で、徐々に広まったスタイルといえます。
オーバーサイズファッションの起源は1970年代のアメリカやイギリスのストリートカルチャーにありますが、1990年代にグランジやヒップホップ文化を通じてその存在感を拡大させ、2000年代以降は日本でも幅広い世代に支持されるようになりました。その中で、編み地の特性を活かした「ワイドニット」が登場し、快適さとファッション性を兼ね備えるデザインとして定着しました。
現代の使われ方とバリエーション
現代においてワイドニットは、ユニセックスかつシーズンレスなアイテムとして多様なスタイルに取り入れられています。春夏にはリネンやコットンなどの軽やかな素材で清涼感を演出し、秋冬にはウールやカシミヤ、アクリルなどの保温性の高い素材が使われます。
デザイン面でも、クルーネックやVネック、ハイネック、ドロップショルダーなど、バリエーションが豊富で、パンツスタイルやスカートとの相性も抜群です。また、インナーとしてシャツを重ねたり、ベルトでウエストマークしたりすることで、着こなしに幅をもたらします。
加えて、性別を問わないジェンダーレスな着こなしとしても注目されており、ボディラインを問わないデザインが年齢や体型を超えたファッションアイテムとして愛用されています。最近ではサステナブルな素材を用いたワイドニットも登場し、エコ意識の高い消費者にも支持されています。
まとめ
ワイドニットは、幅にゆとりをもたせたシルエットとニット素材の柔らかさを組み合わせることで、快適さとファッション性の両立を実現したアイテムです。リラックス感がありながらもスタイリングの幅は広く、トレンドを問わず多様なスタイルに対応できる万能な存在です。今後も、素材やデザインの進化とともにさらに注目を集めるアイテムとして定着していくでしょう。