アパレル業界におけるワイドラペルとは?
アパレル業界の分野におけるワイドラペル(わいどらぺる、Wide Lapel、Large revers)とは、ジャケットやコートなどの襟元にあるラペル(下襟)の幅が広くデザインされたスタイルのことを指します。視覚的なインパクトが強く、クラシックかつエレガントな印象を与える要素として重宝されます。特にメンズスーツのスタイルでは、時代ごとのトレンドとしてラペル幅の変化が見られ、ワイドラペルは1960年代~80年代のパワースーツスタイルや現代のリバイバルブームなどで人気が再燃しています。
ワイドラペルの定義と特徴
ワイドラペルとは、通常よりも幅広に仕立てられたジャケットやコートの下襟部分を指します。一般的なラペルの幅が6~7cm前後であるのに対し、ワイドラペルではそれ以上、8cm~10cmを超えるものもあります。
このようなデザインは、着用者に堂々とした印象やヴィンテージ感を与える効果があり、特にクラシックなテーラードジャケットやスーツスタイルに見られます。ワイドラペルは視覚的なインパクトが大きく、肩幅を広く見せる効果もあるため、スタイリングのバランスやシルエット設計において重要な役割を担います。
言葉の由来と歴史的背景
「ラペル(Lapel)」は、ジャケットやコートの襟の折り返し部分を指す用語で、英語での 'lapel' に由来します。仏語では「revers(ルヴェール)」と表記され、「反転したもの」や「折り返し部分」を意味します。ラペルは元々、上着のボタンを外した際に襟を折り返す構造として発展したディテールです。
ワイドラペルは1920~30年代のクラシックなメンズスーツに多く見られ、ハリウッドスタイルやアールデコ期の装飾的なファッションとともに登場しました。その後、1960年代後半から1970年代のパワースーツ時代にはさらに幅広のラペルが登場し、男性の威厳や存在感を演出するスタイルとして人気を集めました。
1980年代にはさらに誇張されたフォルムとして再登場し、バブル経済期のメンズファッションを象徴するデザインとも言えます。こうした変遷を経て、ワイドラペルはクラシック志向の復権やレトロスタイルの流行とともに、現代ファッションにも再注目される要素となっています。
現代の使われ方とスタイリング
今日のアパレルにおいて、ワイドラペルは、クラシック回帰や個性を演出したいファッションスタイルの中で活躍しています。テーラリングを重視したブランドや、ヴィンテージライクなスタイルを提案するデザイナーのコレクションでも多く見られます。
メンズではダブルブレストスーツやトレンチコートなどとの相性が良く、ワイドなラペルが全体のシルエットを引き締め、男らしさや重厚感を強調します。レディースでも、マスキュリンなジャケットスタイルにおいてワイドラペルが使われることが多く、フォーマルからカジュアルまで幅広いジャンルに対応しています。
また、ワイドラペルは色柄のあるシャツやスカーフなどと組み合わせることで、着こなしに深みや変化をつけるアクセントとしても重宝されます。トレンドとしては、ミニマルで洗練されたジャケットにあえてラペルだけをワイドにすることで、遊び心やこだわりを感じさせるスタイルが人気です。
まとめ
ワイドラペルは、ラペル幅を広く仕立てることでクラシックかつ存在感のある印象を生み出すデザイン要素です。その歴史的背景には、パワースーツ文化やテーラリングの伝統があり、現代ではスタイルのアクセントとして再評価されています。時代性と個性を融合させたスタイリングにおいて、今後も注目される要素のひとつとなるでしょう。