ビジプリ > アパレル業界用語辞典 > 【エンブロイダリー】

アパレル業界におけるエンブロイダリーとは?

アパレル業界の分野におけるエンブロイダリー(刺繍)(えんぶろいだりー、Embroidery、Broderie)とは、布地の表面に糸やビーズなどで装飾模様を施す技法を指します。ファッションアイテムに華やかさや個性を加える装飾として、手作業や機械によって刺繍が施されます。素材や技法によって表情が大きく異なり、伝統的な民族衣装からハイファッション、カジュアルウェアまで幅広く用いられています。刺繍は実用性と芸術性を兼ね備え、古代から現代まで続く、最も歴史ある服飾装飾のひとつです。

エンブロイダリーの定義と特徴

エンブロイダリー(刺繍)とは、針と糸、またはビーズやスパンコールなどの装飾素材を使い、布地の表面に模様を描く技法です。基本的には衣類や装飾布に施され、ステッチの種類や配色、立体感によってデザインに豊かな表情や高級感を与えることができます。

刺繍は、既製のプリントとは異なり、ひとつひとつの糸の重なりによってデザインが形成されるため、立体感や陰影が生まれます。近年ではコンピュータによるミシン刺繍も普及し、量産性と精密性が高まる一方、手刺繍の温もりやクラフト感も再評価されています。

言葉の由来と歴史的背景

「エンブロイダリー(Embroidery)」という言葉は、中世英語の“embroider”に由来し、これは古フランス語“broder”を語源とします。一方、フランス語の「Broderie」も同じルーツを持ち、どちらも「縁取る」「模様を描く」という意味を持ちます。

刺繍の起源は非常に古く、紀元前3000年頃の古代エジプトや中国の遺跡からも刺繍が施された衣服や装飾品が発見されています。ヨーロッパでは中世に宗教儀式用の衣服や室内装飾として発展し、特にルネサンス以降は、王侯貴族の服飾に不可欠な技法として高度な芸術表現へと進化しました。

日本においても「刺し子」や「手まり」などの手工芸の中で発展し、明治以降は西洋式の刺繍技法も取り入れられていきました。20世紀には家庭用ミシンの普及により、刺繍はより一般的な装飾技法となり、実用と装飾を兼ねた日常的な文化として広がりを見せました。

現代の使われ方とスタイリング

現代のアパレルにおいて、エンブロイダリー(刺繍)は、ファッション性と手工芸的な温もりを併せ持つ装飾技法として再評価されています。特にデニムやシャツ、ワンピース、ストリートウェアにいたるまで、多種多様なアイテムに取り入れられています。

また、ブランドのロゴやスローガンを刺繍で表現したり、民族調のエスニック刺繍やヴィンテージ風の花柄刺繍を施したアイテムが人気を集めています。機械刺繍による均一な仕上がりと、ハンド刺繍による一点もののような希少性を組み合わせた商品も展開されており、高付加価値を持つデザインとして注目されています。

さらに、刺繍はサステナブルファッションとも親和性が高く、リペアやリメイクの手段としても活用されています。古着やダメージアイテムに刺繍を施すことで、新たな命を吹き込むアップサイクルの一環として、多くのクリエイターに取り入れられています。

まとめ

エンブロイダリー(刺繍)は、装飾性と芸術性を兼ね備えた伝統的な服飾技法であり、古代から現代まで多様な文化の中で受け継がれてきました。アパレル業界では、スタイルや時代を問わず使われる普遍的な表現手段であり、ファッションの中に手仕事の魅力を取り込む方法として重要な位置を占めています。今後もその技術と感性は、新しい価値を創造するデザイン手法として進化していくでしょう。

▶アパレル業界用語辞典TOPへ戻る

↑ページの上部へ戻る

ビジプリの印刷商品

ビジプリの関連サービス