アパレル業界におけるスエードとは?

アパレル業界の分野におけるスエード(すえーど、Suede、Daim)とは、動物の革の内側を起毛加工した柔らかく滑らかな素材で、独特のマットな質感と高級感が特徴です。主に鹿革や牛革、豚革が使用され、靴、バッグ、ジャケットなど幅広いアイテムに用いられています。加工のしやすさと保温性に優れており、秋冬ファッションの定番素材として人気があります。また、近年では合成スエードも多く使われ、扱いやすくなっています。

スエードの基本的な特徴とその魅力

スエードは、動物の革の裏面(床面)を丁寧に研磨して起毛させた素材です。その結果、手触りのよい起毛感やわらかな風合いが生まれ、見た目にも落ち着いた高級感を醸し出します。天然皮革由来のスエードは通気性や保温性に優れており、特に秋冬シーズンの衣類や小物に多用されます。

一方で、スエードは表面に傷や水分が入りやすいため、撥水加工や防水スプレーなどでのメンテナンスが推奨されます。扱いに慎重さが求められる素材である一方、独自のエレガンスを持つため、ファッション性重視のアイテムで広く活用されています。

語源と歴史的背景

スエードという名称は、フランス語で「スウェーデンの手袋」を意味する「gants de Su?de(グァン・ドゥ・スエード)」に由来しています。18世紀後半、スウェーデン製の手袋が滑らかで柔らかい質感を持っていたことから、その素材を表す言葉として「スエード」が使われるようになりました。

当初は手袋など限られた用途での使用が中心でしたが、産業革命とともに皮革の大量加工が可能になると、靴やバッグ、衣類など幅広い製品に応用されるようになりました。特に20世紀中頃には、アメリカやヨーロッパでスエードジャケットがファッションの定番となり、多くのブランドが採用するようになります。

現在の使用例と進化するスエード素材

現在では、リアルスエードに加えて人工スエード(合成スエード)が登場しており、価格やメンテナンス性を重視した商品展開が増えています。人工スエードはポリエステルやナイロンを原料とし、見た目や手触りをリアルスエードに近づけた素材で、水に強く洗濯可能な点が評価されています。

アパレル分野では、スエードは主にジャケット、ブーツ、スカート、バッグなどに使われ、そのシーズン感と高級感が多くのコーディネートに活かされています。カラー展開も豊富で、クラシックなブラウンやベージュから、鮮やかなカラーまで幅広く対応しており、ファッション性の高いアイテムとして重宝されています。

まとめ

スエードは、その起毛感とやわらかな質感により、アパレルにおいて特別な存在感を放つ素材です。伝統的な天然皮革から現代の人工素材まで進化を遂げ、多様なスタイルや用途に応じた使い方が可能になりました。手入れの手間はありますが、それ以上に上品で温もりのある雰囲気を演出できる素材として、今後も長く愛され続けることでしょう。

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