アパレル業界におけるタックとは?

アパレル業界の分野におけるタック(たっく、Tuck、Plis)とは、生地を部分的に折り畳んで縫い留める技法で、主に装飾やシルエット調整、可動域の確保を目的として衣服に施されます。スカートやパンツ、ブラウスなど幅広いアイテムに用いられ、立体感やゆとりを生み出すディテールとして重要です。ファッション性と機能性を兼ね備えており、トラッドからモードまでさまざまなスタイルで活用されています。

タックの構造とシルエットへの効果

タックとは、衣服の布地に折り目をつけて縫い込む技術のことで、装飾性だけでなく、動きやすさやシルエットの調整といった機能的な役割も果たします。タックを入れることで布地に余裕が生まれ、着用者の体型に柔軟に対応する仕上がりとなります。

タックには「インタック」「アウトタック」などの種類があり、折り目の方向や幅によって印象やフィット感が異なります。また、ウエスト周りにタックを入れることでヒップや太ももにゆとりが生まれ、パンツなどにおいて快適な着心地を提供します。

言葉の由来と歴史的背景

「タック」は英語の「Tuck(つまむ・折り込む)」に由来し、19世紀の欧米衣服の中で定着した技法のひとつです。とくに19世紀後半?20世紀初頭の婦人服において、細やかなタックを施したブラウスやドレスが上流階級の象徴とされ、エレガンスや気品を演出する手段として活用されてきました。

その後、20世紀中盤になると、メンズパンツのデザインにもタックが応用され始め、ゆとりある設計が主流となります。特に1950年代以降のクラシックスタイルでは、2タックや1タック入りのパンツが流行し、スーツスタイルにおける定番として浸透しました。

現代におけるタックの使い方とデザイン性

現在では、タックはファッションの表現要素として多様に進化しています。スカートのプリーツ風デザインやパンツの腰まわりのゆとり、ブラウスやシャツの胸元のアクセントなど、装飾と機能の両立が求められるデザインで広く採用されています。

また、オーバーサイズやリラックスシルエットが人気の現代において、ボリューム調整のディテールとしてタックが注目されています。視覚的に立体感を出すだけでなく、着心地の向上や身体のラインを目立たせない工夫としても効果を発揮します。

テーラリングの分野でも、タックの取り方ひとつで全体の印象が変わるため、デザイナーやパタンナーにとっても重要な技術とされています。

まとめ

タックは、衣服に奥行きやゆとりをもたらす基本的かつ多用途な技法です。歴史的にはエレガンスの象徴として発展し、現代では装飾性と快適性を両立させる要素として欠かせない存在です。パンツやスカートをはじめとする幅広いアイテムにおいて、タックの存在は着心地とデザインのバランスを保つための要であり、アパレル業界における根幹のディテールのひとつです。

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