アパレル業界におけるインパーテッドプリーツとは？
アパレル業界の分野におけるインパーテッドプリーツ（いんぱーてっどぷりーつ、Inverted Pleats、Plis invers?s）は、プリーツ（ひだ）の一種で、外側に開くように折り込まれた構造が特徴です。2枚の生地端を中央に向かって折り、中心線に沿って重ねることで奥行きのある印象を生み出します。スカートやジャケット、ユニフォームなどに使用され、デザイン性と可動性を両立させるスタイルとして広く用いられています。
インパーテッドプリーツの基本構造と特徴
インパーテッドプリーツとは、2つのプリーツが中央に向かって対称的に折り畳まれたデザインのことで、折り目の合わせ部分が表面に出ない構造になっています。通常のボックスプリーツが外側に開くのに対し、インパーテッドプリーツは内側に開くため、落ち着いた印象や控えめな装飾性が特徴です。
このプリーツは歩行や動作に合わせて自然に広がるため、可動域が必要な衣服にも適しており、制服、スポーツウェア、フォーマルスカートなどで多用されています。また、布の重なりが少ないため、すっきりとしたシルエットを保ちつつ立体感を与えることが可能です。
インパーテッドプリーツの歴史と語源
「インパーテッド（Inverted）」とは「反転された」という意味で、通常のプリーツとは逆の折り方をすることからこの名称がつけられました。このデザインの起源は明確にはされていませんが、19世紀後半のヨーロッパのミリタリーユニフォームや学生服などにその形が見られ、機能性と整然さを両立したディテールとして採用されてきました。
アメリカやイギリスでは、スカートやドレスのディテールとして発展を遂げ、女性らしさを演出しながらも、過度に華美にならないバランス感覚のあるデザインとして支持されました。フランスでは「Plis invers?s」と呼ばれ、高級メゾンでもスカートやコートの意匠として活用されることがあります。
現代におけるインパーテッドプリーツの使われ方
現在では、学生服のスカートやトラディショナルなレディースウェアに加え、モード系ファッションやユニセックスデザインでも用いられるようになっています。特に動きやすさとデザイン性が両立できる点から、ビジネススタイルやオフィスカジュアルのボトムスにも応用されています。
また、ジャケットの背中部分に施される「アクションプリーツ」や「ベント」の一形態としてもインパーテッドプリーツが採用されており、立体的でありながら洗練された印象を与えるディテールとして活躍しています。プリーツの深さや幅を変えることで、印象のコントロールがしやすい点も、デザイナーにとって魅力的な要素です。
まとめ
インパーテッドプリーツは、内向きに折り込まれたプリーツ構造によって、機能性と上品さを兼ね備えたスタイルを形成します。その歴史はクラシックな制服や軍服にまでさかのぼり、現代のファッションにおいてもその有用性は衰えることがありません。さりげないディテールで差をつけたいときに選ばれることの多い要素です。
