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アパレル業界におけるエスニック柄とは?

アパレル業界の分野におけるエスニック柄(えすにっくがら、Ethnic Pattern、Motif ethnique)とは、特定の民族文化に由来する装飾や模様を取り入れた柄のことを指します。アフリカ、アジア、中南米、中東など、地域独自の伝統的な文様や配色、織りのパターンがファッションに応用されています。異文化への敬意や個性の演出として、現代でも幅広く取り入れられています。

エスニック柄の基本的な特徴と多様性

エスニック柄は、ある特定の民族や文化の伝統的な装飾文様や色彩、織り柄をデザインとして引用したパターンを指します。代表的なものにはアフリカンバティック、インドのペイズリー、ペルシャの幾何学模様、メキシカンラグ柄、ネイティブアメリカンのシンボルパターンなどがあり、そのバリエーションは極めて多彩です。

色彩豊かでダイナミックな表現や幾何学的な反復模様が特徴とされる一方、草花や動物、宗教的・儀式的モチーフを含むものもあり、柄自体が文化的な背景を象徴する重要な意味を持ちます。ファッションアイテムに落とし込まれる際には、素材やシルエット、色使いなどと組み合わせ、個性的で印象的なデザインとして機能します。

言葉の由来とファッションへの導入の歴史

「エスニック(ethnic)」という語は、もともと「民族的な」や「部族の」といった意味を持つ英語に由来します。アパレル分野では1970年代のボヘミアンブームやヒッピームーブメントの中で、異文化への憧れとともに「エスニックスタイル」が注目され、民族風の柄や刺繍、布地が取り入れられるようになりました。

とくにアジアやアフリカ、南米などのフォークロア文化に着目したファッションが、ヴィンテージやリゾートウェアを通して浸透していきました。その後も、1980?90年代のアート志向のデザイナーズブランドにおいて、異文化的要素を強調したエスニック柄が再注目され、グローバル化とともにファッションの一ジャンルとして定着していきます。

現代におけるエスニック柄の使われ方と意義

現在、エスニック柄は、春夏シーズンのリゾートスタイルや、カジュアルウェア、ワンピース、スカート、ストール、バッグなど、さまざまなアイテムに取り入れられています。ブランドやデザイナーによっては、特定の民族に焦点を当てたデザイン展開を行うこともあります。

また、サステナブルファッションの観点から、伝統技法を活かした手織り布や刺繍生地の活用が注目されており、文化的多様性と職人技への敬意という側面でもエスニック柄は再評価されています。その一方で、文化の盗用(カルチュラル・アプロプリエーション)への配慮が求められる場面もあり、素材の出自や意匠の尊重が重視されるようになっています。

まとめ

エスニック柄は、世界各地の伝統や文化に根ざした美的感覚を、ファッションの中で表現するための重要な要素です。その歴史と意味を理解しつつ取り入れることで、スタイルに深みやメッセージ性をもたらすと同時に、異文化へのリスペクトを反映した表現にもつながります。

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