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アパレル業界におけるキモノスリーブとは?

アパレル業界の分野におけるキモノスリーブ(きものすりーぶ、Kimono Sleeve、Manche Kimono)とは、日本の伝統衣装である着物に由来する袖の形状を指し、肩から袖までが一枚の布で構成されたデザインです。肩に縫い目がなく、滑らかに続くラインが特徴で、ゆったりとしたシルエットが女性らしさや優雅さを演出します。現在ではワンピースやブラウスなどにも取り入れられ、和のエッセンスを加えるスタイルとして親しまれています。

キモノスリーブの形状とデザイン的特長

キモノスリーブは、肩から袖までが一体となった布で構成される袖のデザインであり、肩の縫い目がないことが最大の特徴です。通常のセットインスリーブと異なり、袖付け部分に曲線や縫い合わせを設けず、直線的なラインが身体を包む構造となっています。

この袖の形状により、全体的にゆったりとしたシルエットが生まれ、動きやすさとともに、柔らかく上品な印象を与える効果があります。特にリゾートウェアやリラックススタイルのワンピース、ローブ、チュニックなどにおいて重宝されるデザインです。また、柄のつながりが美しく見えることから、プリント柄を活かした製品にも多く使用されます。

語源と日本文化からの影響

キモノスリーブの語源は、もちろん日本の伝統衣装である「着物」にあります。着物の袖は身体の側面からそのまま布が続く構造で、袖山や袖ぐりといったパターン設計が不要です。これが欧米でファッションデザインに取り入れられた際、「Kimono Sleeve」という名称で呼ばれるようになりました。

19世紀末から20世紀初頭にかけて、ジャポニスム(日本趣味)の流行とともに、西洋のデザイナーたちは日本の衣服構造に強い関心を寄せました。とりわけ着物のラインや布の扱い方は、アール・デコやアール・ヌーヴォーなどの装飾芸術運動にも影響を与え、非構造的で自由なフォルムが革新的な服飾デザインとして注目されました。

現代のファッションにおけるキモノスリーブ

現在、キモノスリーブは和風テイストのあるデザインとしてだけでなく、ミニマルでエレガントなシルエットを求める現代のモードにおいても幅広く採用されています。シンプルな形ながらも独自の存在感を放つため、ワンピースやジャケット、さらにはフォーマルウェアにも応用されています。

また、サステナブルファッションの文脈においても注目されており、縫製工程が比較的シンプルなため、生産過程での生地のロスが少ない点が評価されています。布を直線的に使う構造は、環境配慮型デザインとも親和性が高く、持続可能な衣服づくりに貢献しています。

まとめ

キモノスリーブは、日本の着物に起源を持つ独自の袖デザインで、布の流れを生かした構造が特徴です。動きやすく、柔らかで女性らしい印象を与えるこの袖は、時代やジャンルを超えて多くの衣服に応用されています。伝統に根ざしつつも、現代の機能性や美意識に対応するデザインとして、今後もその価値は広がっていくといえるでしょう。

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