アパレル業界におけるポケット布とは？
アパレル業界の分野におけるポケット布（ぽけっとぬの、Pocketing Fabric、Tissu de poche）とは、衣服の内側に取り付けられるポケットの袋部分を構成するための専用布地を指します。この布は表地とは異なり、見えない部分に使用されるため、耐久性と軽量性、そしてコスト効率を重視して選ばれます。綿やポリエステル、混紡素材などが多く用いられ、衣服の実用性を支える裏方的な存在として重要な役割を果たしています。
ポケット布の基本的な役割と素材の特徴
ポケット布は、衣類におけるポケットの袋部分、いわゆる「袋布」として使われる布地です。一般的には表地とは別素材で構成されており、ポケットの内部構造を形成するため、軽くて薄手であることが求められます。また、使用頻度が高いポケットは摩耗しやすいため、ある程度の耐久性や通気性も備えた素材が選ばれます。
最も一般的に使われる素材は綿ブロードや綿ポリエステル混紡生地などで、肌触りが良く、丈夫で洗濯にも強いのが特徴です。スーツやジャケットなどには、滑りやすいポリエステル系の布を使用することで、手の出し入れがしやすくなる工夫も施されています。
ポケット布の歴史と用語の背景
ポケット布という呼称は日本独自のもので、英語では「Pocketing Fabric」と表現され、衣服のパーツ構造に関する専門的な用語として広く使われています。ポケット自体の歴史は中世ヨーロッパにまで遡り、当初はベルトに吊るされた小袋などが起源とされています。
衣服に直接ポケットが縫い込まれるようになったのは18世紀以降で、それに伴いポケットの内側を構成する「袋布」として専用の布が用いられるようになりました。これがのちにアパレル業界で「ポケット布」として定着し、現在では製品仕様書や縫製指示書などでも日常的に使用される用語となっています。
現在の使われ方とデザイン面での工夫
現在のアパレル製品では、ポケット布は機能性とともにデザイン性にも配慮されています。たとえば、ジーンズやカジュアルシャツなどでは、ポケットの袋布にプリント柄やロゴを施すなど、見えない部分のおしゃれとしての演出がされることもあります。
一方、スポーツウェアやユニフォームでは、速乾性や抗菌性を備えた機能性素材のポケット布が採用されるケースも増えており、製品の使用目的に応じた素材選定が重要なポイントとなっています。また、環境配慮の観点から、リサイクル素材を用いたポケット布の開発も進められています。
まとめ
ポケット布は表からは見えない存在でありながら、衣服の機能性と耐久性を支える縁の下の力持ちとも言えるパーツです。素材の選定や設計によって使用感や耐久性が大きく左右されるため、アパレル製品の品質において重要な役割を担っています。今後も、機能性とサステナビリティの両立を目指した新たなポケット布の展開が期待されます。
