アパレル業界におけるスクーバ素材とは?
アパレル業界の分野におけるスクーバ素材(すくーばそざい、Scuba Fabric、Tissu de plong?e)とは、本来ダイビングスーツに使用されるウェットスーツ素材を模して開発された合成素材で、ネオプレーンに類似した構造を持ちます。厚みと弾力がありながら軽く、保形性に優れている点が特徴で、近年ではファッションアイテムとしての用途も広がっています。ジャケットやスカート、スポーツウェアなどで使用され、モード感と機能性を両立した素材として注目されています。
スクーバ素材の構造と基本的特徴
スクーバ素材は、ポリエステルやナイロンなどの合成繊維を複数層で貼り合わせたダブルニット構造の素材で、弾力性や伸縮性に優れています。一般的に表と裏にジャージー生地が使用され、その間に発泡素材を挟み込んで構成されています。
この構造により、シルエットの立体感を強調しやすく、ボリュームのあるデザインにも適応しやすいことから、モード系のファッションに多く取り入れられています。また、シワになりにくく、型崩れしにくい点も実用的です。
スクーバ素材の由来と登場背景
「スクーバ(Scuba)」とは、本来「Self-Contained Underwater Breathing Apparatus」の略で、水中呼吸装置を用いたダイビングのことを指します。そこから派生して、ダイビングスーツに使われる厚手のゴム素材「ネオプレーン」に似たファブリックがファッション分野に取り入れられ、「スクーバ素材」と呼ばれるようになりました。
アパレル用途としての登場は2010年代に入り、スポーツミックススタイルやテクニカルファッションの流行とともに広まりました。従来の素材では表現しにくかった立体的かつ滑らかなシルエットを表現できることから、先鋭的なブランドやデザイナーが注目し採用を始めたのがきっかけです。
現在の使われ方とその多様性
現在、スクーバ素材は、アウターやトップス、スカート、ワンピースなどのウィメンズウェアを中心に広く使用されています。ボリュームスカートやフレアデザインなどで活用されることが多く、素材自体が自立する特性を活かしたデザインが目立ちます。
また、スポーツウェアやアスレジャースタイルにおいても、防風性や保温性を兼ね備えた機能素材として評価されており、日常使いからランウェイまで幅広いシーンで活躍しています。洗濯やメンテナンスも比較的容易であることから、カジュアルブランドにも浸透しています。
まとめ
スクーバ素材は、ネオプレーンにヒントを得て生まれた新感覚の合成素材で、立体的で個性的なデザインを可能にする点が大きな魅力です。ファッション性と機能性を兼ね備え、現代的なスタイルやスポーツファッションに不可欠な素材として定着しつつあります。