アパレル業界におけるスレキとは?
アパレル業界の分野におけるスレキ(すれき、Pocket lining、Doublure de poche)とは、主にパンツやジャケットのポケット袋布に使用される裏地用の布を指す用語です。表地と異なる布で作られ、実用性や強度、通気性を考慮して綿や綿混素材が多く使われます。目立たない部分でありながら、着用時の快適さや製品の耐久性に大きく影響する重要なパーツとして扱われており、縫製業界では欠かせない素材のひとつです。
スレキの基本的な役割と特徴
スレキは、衣服の裏側、特にポケットの内布や、ウエスト周りの補強部分に使われる布地のことを指します。一般的には表地よりも薄手で丈夫な綿布や綿ポリエステル混紡生地が用いられ、主に白や生成り、ベージュなどの無地が多く見られます。
スレキの目的は、摩擦の多い部位を補強し、耐久性を高めることにあります。名前の由来も「擦れる生地=擦れ生地(すれき)」に由来しており、日常使用で摩耗しやすいポケット内部や腰まわりの布地に特化した素材です。
スレキの語源と歴史的背景
「スレキ」という名称は和製語で、「擦れる」+「生地(き)」から成る略語とされています。明治期以降、西洋服飾の導入とともに日本の縫製現場で使われ始め、当初は輸入品の裏地を指すこともありましたが、次第に国内生産の丈夫な裏地全般を指すようになりました。
英語では「Pocket lining(ポケットライニング)」、フランス語では「Doublure de poche(ドゥブリュール・ド・ポッシュ)」と呼ばれ、いずれもポケットの裏地として明確に定義されていますが、日本語の「スレキ」はポケット以外にも一部の芯地や補強布として使われることもあります。
現代におけるスレキの使用とバリエーション
現在のアパレル業界では、スレキは用途やブランドのこだわりに応じて多様な素材やデザインが用いられています。特にデニムパンツのポケット布では、ブランドロゴ入りやプリント柄のスレキが使用されることもあり、見えない部分で差別化を図るディテールとして注目されています。
また、エコ素材やオーガニックコットンを使ったスレキも登場しており、環境配慮と機能性の両立が求められる現代の縫製仕様に適応しています。スレキは表に出ないためあまり意識されにくい素材ですが、着心地や耐久性、通気性を左右する重要な要素であり、品質の高い衣服づくりには欠かせない存在です。
まとめ
スレキは、衣服内部のポケットや補強部分に使われる裏地用の布地で、摩耗に強く、通気性のある素材が選ばれます。歴史的には洋装文化の発展とともに日本で定着した用語であり、現在では機能性とデザイン性を兼ね備えた多様なスレキが使われています。縫製の質を左右する重要なディテールとして、見えないところにこだわる服づくりの象徴とも言えます。