ビジプリ > 美術用語辞典 > 【MDFボード】

美術におけるMDFボードとは?

美術におけるMDFボード

美術の分野におけるMDFボード(えむでぃーえふぼーど、Medium Density Fiberboard、Panneau de fibres à densité moyenne)は、木材を繊維状に加工し、接着剤で圧縮成形した人工木材の一種です。

美術制作や建築模型、額縁製作などに幅広く使用されており、加工のしやすさと耐久性の高さが特徴です。



MDFボードの歴史と発展

MDFボードは、1960年代にアメリカで開発され、家具や建築材料として広く利用されるようになりました。従来の木材に比べて加工が容易であり、価格も抑えられるため、短期間でインテリアや工芸分野で普及しました。

1990年代以降、美術の分野でもMDFボードが使用されるようになり、キャンバスの代替素材や彫刻の基材、額縁の制作材料としての活用が進みました。



MDFボードの用途と技術

MDFボードは以下のような用途で活用されています。

美術作品の基材として、アクリル絵具や油絵の支持体として使用されることが増えています。表面が滑らかであるため、塗料が均一に広がる特徴があります。

彫刻や模型制作の分野では、加工しやすいため、精密な切削や彫刻に適しています。また、軽量で丈夫なため、大型作品の制作にも利用されます。

また、展示パネルや額縁の素材としても使用され、耐久性の高いアートディスプレイを作成する際に役立ちます。



展示パネルの詳細ページ
ビジプリでは、毎月数千枚の展示パネル印刷をしております。豊富な実績と納品スピードでお客様のニーズに対応いたします。


現代におけるMDFボードの多様な活用シーン

現在、MDFボードは美術・建築・デザイン分野で不可欠な素材として進化を続けています。絵画制作においては、その均一な表面特性からアクリル絵具や油彩の支持体としてキャンバスに代わる選択肢となり、特に大規模作品制作で重宝されています。立体作品では、CNCルーターやレーザーカッターによる精密加工が可能なため、現代アーティストから高い支持を得ています。

建築模型制作では、軽量でありながら強度が高く、細部まで再現できる特性が評価されています。インテリアデザイン分野では、切削・彫刻・塗装のしやすさから、オリジナル家具や装飾パネルの制作に頻繁に採用されています。

近年では、環境配慮型の低ホルムアルデヒド仕様MDFが開発され、美術館や教育機関など公共空間でも安心して使用できるようになりました。EUの環境規格「E0」や「F☆☆☆☆」を取得した製品も増加し、サステナブルな素材としての地位を確立しています。



MDFボードの選び方とメンテナンス方法

MDFボードの選び方

美術制作に適したMDFボードを選ぶ際には、厚み・密度・ホルムアルデヒド含有量の3点が重要なポイントです。絵画支持体には9-12mmの標準密度(700-800kg/m³)が推奨され、彫刻作品には高密度タイプ(800kg/m³以上)が適しています。展示用パネルには防湿処理済みの製品を選ぶことで、経年劣化を防げます。

メンテナンス方法として、未処理のMDFは湿度変化に弱いため、使用前には必ず専用のシーラーやプライマーで表面処理を行う必要があります。完成作品の保管は、直射日光を避け、温度20-25℃・湿度40-60%の環境が理想です。定期的に防カビ剤を含んだクロスで拭くことで、長期間良好な状態を保てます。

最近では、MDF専用の保護コーティング剤も開発されており、1回の塗布で耐水性・耐汚染性を大幅に向上させられます。美術材料店では、作品用途に合わせた最適なMDF製品と関連資材をまとめて購入できるようになり、アーティストの作業効率が向上しています。



まとめ

MDFボードは、美術制作に適した汎用性の高い人工木材であり、多くのクリエイターにとって欠かせない素材となっています。今後も、技術の進化とともに、美術の分野での活用がさらに拡大していくでしょう。


▶美術用語辞典TOPへ戻る



↑ページの上部へ戻る

ビジプリの印刷商品

ビジプリの関連サービス