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美術におけるアールデコの高級素材使用とは?

美術の分野におけるアールデコの高級素材使用(あーるでこのこうきゅうそざいしよう、Art Deco Luxury Materials、Utilisation de Matériaux de Luxe Art Déco)は、1920年代から1930年代にかけて流行したアールデコ様式において、高級感を演出するために用いられた貴重な素材の使用を指します。象牙、マホガニー、大理石、クロムメッキ、金箔などが多用され、建築、家具、装飾品、ファッションなど幅広い分野に影響を与えました。



アールデコにおける高級素材の歴史と発展

アールデコの時代は、第一次世界大戦後の経済回復とともに、都市の発展や工業技術の向上が進んだ時代でした。その中で、洗練されたデザインと高級感を兼ね備えたスタイルが求められ、贅沢な素材を取り入れた装飾が流行しました。

1925年にパリで開催された「国際装飾美術産業博覧会(Exposition Internationale des Arts Décoratifs et Industriels Modernes)」では、エキゾチックな木材、貴金属、貴石などの高級素材を使用した作品が多数展示され、アールデコ様式の豪華さを際立たせる重要な要素となりました。

この時期には、建築や家具だけでなく、ジュエリーや服飾品、インテリア装飾に至るまで、さまざまな分野で高級素材が使用され、社会の富裕層を中心に人気を博しました。



アールデコの高級素材とその特徴

アールデコ様式において使用された主な高級素材には、以下のようなものがあります。

貴金属(ゴールド、シルバー、プラチナ) – アールデコの装飾品や家具のアクセントとして、多くの作品に金箔や銀メッキが施されました。特に、ジュエリーでは、ダイヤモンドやエメラルドと組み合わせた大胆なデザインが流行しました。

高級木材(マホガニー、ローズウッド、エボニー) – 豪華な家具やインテリア装飾に用いられ、深みのある色合いと滑らかな質感が特徴です。特に、象嵌細工と組み合わせることで、独特の芸術的なデザインが生み出されました。

大理石とラピスラズリ – 建築や家具、彫刻の装飾に使用され、重厚感と高級感を演出しました。特に、大理石はアールデコ建築の柱や床、カウンターなどに多く使用されました。

クロムメッキとスチール – 機械的でモダンな印象を与えるクロムメッキは、照明器具や家具、建築装飾に広く取り入れられました。また、スチールとガラスを組み合わせたデザインが人気を博しました。

エナメルとラッカー仕上げ – 宝飾品や装飾品に使用され、鮮やかな色彩を持つエナメル細工が施されたジュエリーや時計が多く作られました。

これらの素材は、それぞれの特性を活かして、アールデコ特有の幾何学模様や対称的なデザインを際立たせる要素となりました。



現代におけるアールデコの高級素材の影響

アールデコの高級素材使用は、現代の建築やデザインにも影響を与え続けています。特に、ラグジュアリーブランドのインテリアやファッションにおいて、アールデコ様式のエレガンスが再評価されています。

現代のジュエリーや時計のデザインでは、アールデコの幾何学装飾と高級素材を取り入れた作品が多く見られます。例えば、カルティエやティファニーなどのブランドは、アールデコの影響を受けたデザインを継承し、洗練された美しさを表現しています。

また、高級ホテルやレストランのインテリアデザインにもアールデコの高級素材が使用され、クロムや大理石を活かしたモダンで豪華な空間が作られています。

さらに、映画やドラマのセットデザインにおいても、アールデコの高級感を取り入れた美術セットが多く登場し、歴史的な雰囲気を演出する要素となっています。



まとめ

アールデコの高級素材使用は、モダンで洗練されたデザインと豪華さを象徴する要素として、1920年代から1930年代にかけて発展しました。

貴金属や高級木材、大理石、クロムメッキなどが多用され、建築やインテリア、ジュエリー、ファッションに幅広く影響を与えました。現代でもその影響は続いており、ラグジュアリーブランドのデザインやインテリア装飾に取り入れられています。


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