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美術におけるアイソメトリックアートとは?

美術におけるアイソメトリックアート(あいそめとりっくあーと、Isometric Art、Art Isométrique)は、三次元空間を二次元上に表現する際に、遠近法を用いずに等角投影法(アイソメトリック投影)を利用する手法です。この技法では、対象物の奥行きや高さが一定の角度(通常30度または45度)で描かれるため、歪みがなく、建築設計やゲームデザイン、デジタルイラストなどで広く用いられています。



アイソメトリックアートの起源と歴史

アイソメトリックアートの起源は、古代の美術や建築図面に見ることができます。古代エジプトやギリシャの建築図では、対象物を正確に描写するために遠近法を用いない描画手法が採用されていました。

18世紀から19世紀にかけて、工業技術の発展に伴い、アイソメトリック投影がエンジニアリングや建築設計において正式に導入されました。この手法は、建築物や機械の設計図を正確かつ歪みなく表現できるため、技術分野で広く普及しました。

20世紀に入ると、アイソメトリックアートはグラフィックデザインやイラストレーションの分野でも活用されるようになりました。特に、デジタル技術の発展により、コンピュータグラフィックスにおいてこの手法が重要な役割を果たすようになりました。



アイソメトリックアートの特徴と技法

アイソメトリックアートには、以下のような特徴と技法が存在します。

1. 遠近感を使わない均一な構成
従来の遠近法では、視点に応じて対象物の大きさが変化しますが、アイソメトリックアートではすべてのオブジェクトが同じスケールで描かれるため、構図が整然とした印象になります。

2. 一定の角度(30度または45度)
アイソメトリック投影では、水平線に対して30度または45度の角度でオブジェクトを配置することで、立体的に見せることができます。

3. グリッドを活用した正確な描画
デジタル制作では、アイソメトリックグリッドを活用し、正確なパース(遠近感)を維持しながら描画することが一般的です。特に、ゲームや建築デザインで重視されるポイントです。



現代におけるアイソメトリックアートの活用

現在、アイソメトリックアートはゲームデザイン、インフォグラフィック、建築ビジュアライゼーションなど幅広い分野で利用されています。

特に、ゲーム業界では、1990年代の「シムシティ」や「ディアブロ」などのアイソメトリック視点を採用した作品が人気を博しました。現在も、戦略シミュレーションゲームやピクセルアートの分野でこの技法が活用されています。

また、インフォグラフィックや広告デザインにおいても、アイソメトリックアートは視覚的に情報を整理しやすいという利点から、企業のプロモーションやプレゼンテーション資料などに広く活用されています。



まとめ

アイソメトリックアートは、三次元的な奥行きを持ちながらも遠近感を用いない描画手法として、古代から現代にかけて発展してきました。

建築設計やゲームデザイン、インフォグラフィックなど多くの分野で活用されており、その正確性と視覚的な整然さが高く評価されています。今後も、デジタル技術と融合しながら、さらなる発展が期待される分野のひとつです。


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