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美術におけるアトリエ用イーゼルとは?

美術におけるアトリエ用イーゼル(あとりえよういーぜる、Studio Easel、Chevalet d'atelier)は、主にアトリエや美術教室で使用される安定性と調整機能を備えた大型のイーゼルを指します。一般的な屋外用イーゼルや卓上イーゼルとは異なり、アトリエ用イーゼルはしっかりとした木製または金属製の構造を持ち、大型のキャンバスを固定できることが特徴です。画家が長時間制作を行う際に重要なサポート役となり、作品のサイズや作業スタイルに応じて高さや角度を調整する機能を備えています。



アトリエ用イーゼルの特性と種類

アトリエ用イーゼルは、安定性・耐久性・調整機能を重視した設計がされており、用途や作業環境に応じてさまざまな種類が存在します。

  • H型イーゼル – 四角い枠組みを持ち、最も安定感のあるタイプ。大型キャンバスに適している。
  • A型イーゼル – 三脚構造で、比較的軽量で省スペースなデザイン。折りたたみ可能なものが多い。
  • クランク式イーゼル – ハンドルを回して高さを調整できるプロ仕様のイーゼル。
  • 壁寄せイーゼル – スペースを取らず、壁際に設置できるタイプ。
  • 電動イーゼル – 電動で高さや角度を調整できる最新モデル。

これらの種類は、制作環境やキャンバスのサイズに応じて適したものを選ぶことが重要です。



アトリエ用イーゼルの選び方

アトリエ用イーゼルを選ぶ際には、キャンバスのサイズ、作業スペース、使用目的などを考慮する必要があります。

1. キャンバスのサイズに適したものを選ぶ
イーゼルごとに対応できるキャンバスサイズが異なるため、大型の作品を制作する場合は、耐荷重が高く、大きなキャンバスを支えられるものを選ぶことが重要です。

  • ~F50号程度ならA型イーゼルでも対応可能。
  • F100号以上の大型作品にはH型やクランク式イーゼルが適している。

2. 作業スペースとの兼ね合い
アトリエの広さやレイアウトに応じて、適切なタイプを選びます。

  • 狭いスペースにはA型や壁寄せイーゼルが便利。
  • 広い作業スペースではH型やクランク式が使いやすい。

3. 角度や高さ調整機能
長時間の制作では、作業姿勢に合わせて角度や高さを調整できるイーゼルが望ましい。

  • 水彩画やデッサンには、ほぼ垂直に調整できるタイプ。
  • 油彩画には、微妙な角度調整が可能なクランク式や電動タイプが便利。


アトリエ用イーゼルの活用とメンテナンス

アトリエ用イーゼルは、正しく使用し、適切にメンテナンスすることで、長期間にわたって安定した作業環境を提供します。

1. 正しい使用方法
イーゼルは、適切な高さと角度に調整し、安定した状態で使用することが重要です。

  • キャンバスをしっかり固定し、制作中にズレないようにする。
  • 床が滑りやすい場合は、ゴムマットなどを敷いて安定性を高める。

2. メンテナンスとお手入れ
イーゼルを長持ちさせるためには、定期的なメンテナンスが必要です。

  • 木製イーゼルは乾燥や湿気を避け、オイルやワックスで保護する。
  • 金属製イーゼルは、定期的にネジの緩みをチェックし、サビ防止を行う。
  • 高さ調整のネジやクランプ部分に汚れが溜まらないように定期的に掃除する。


現代アートとアトリエ用イーゼルの関係

アトリエ用イーゼルは、伝統的な油彩画やアクリル画だけでなく、現代アートの制作にも幅広く利用されています。

1. 大型キャンバスでの制作
現代美術では、F100号以上の超大型キャンバスを使用するアーティストも多く、これに対応できるH型や電動イーゼルが活用されています。

2. ミクストメディア作品
複数の素材を組み合わせたミクストメディア作品では、キャンバスを垂直だけでなく斜めに傾けられるイーゼルが重宝されます。

3. インスタレーションアートとの融合
イーゼル自体を作品の一部として組み込むケースもあり、展示空間の演出にも活用されています。



まとめ

アトリエ用イーゼルは、安定性・耐久性・調整機能を兼ね備え、長時間の制作作業を支える重要なツールです。H型・A型・クランク式など、用途に応じたさまざまなタイプがあり、制作環境やキャンバスのサイズに適したものを選ぶことが重要です。

また、適切なメンテナンスを行うことで、長く快適に使用でき、アーティストの表現活動をサポートします。近年では、電動イーゼルや可動式のイーゼルも登場し、現代アートの制作においても重要な役割を果たしています。


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