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美術におけるアブソルートアートとは?

美術におけるアブソルートアート(英語: Absolute Art、仏語: Art absolu)は、芸術を純粋な形で追求し、現実世界の影響や制約から完全に独立した表現を目指す芸術概念です。この概念は、20世紀初頭の抽象芸術や構成主義の運動から発展し、芸術の自律性や純粋性を強調する考え方として広まりました。アブソルートアートは、形や色、線などの要素をそれ自体として扱い、現実の事物や物語から切り離された表現を追求します。



アブソルートアートの歴史と理論

アブソルートアートの概念は、20世紀初頭のヨーロッパで生まれました。特に、ロシアの構成主義やオランダのデ・ステイル運動が、芸術の純粋性と自律性を追求する動きを主導しました。ピエト・モンドリアンやカジミール・マレーヴィチといったアーティストが、幾何学的な形や原色を活用し、現実世界から完全に独立した芸術表現を追求しました。

この考え方は、第二次世界大戦後にも影響を与え、ミニマリズムやコンセプチュアルアートといった現代美術の運動に受け継がれました。アブソルートアートは、芸術を現実の制約から解放し、純粋な形で表現することを目指す思想として、現代美術の重要な基盤となっています。



アブソルートアートの特徴と表現手法

アブソルートアートの最大の特徴は、その純粋性自律性にあります。現実世界の事物や物語から完全に独立し、形や色、線などの要素をそれ自体として扱います。これにより、芸術は現実の影響を受けず、純粋な表現として存在することが可能です。

また、アブソルートアートは、その表現手法が幾何学的でシンプルなことが特徴です。モンドリアンの「コンポジション」シリーズやマレーヴィチの「ブラック・スクエア」など、幾何学的な形と原色を活用した作品が代表的です。これらの作品は、現実の事物を再現するのではなく、形や色の純粋な関係性を追求しています。



現代におけるアブソルートアートの意義

現代の美術界において、アブソルートアートは依然として重要な意義を持っています。その理由は、アブソルートアートが持つ芸術の自律性純粋性にあります。アーティストは、現実の制約から解放され、独自の視点や感情を純粋な形で表現することができます。また、見る者にとっても、作品に対する解釈が自由であるため、個人的な体験や感情を反映した鑑賞が可能です。

さらに、アブソルートアートは、現代社会の複雑さや抽象性を反映する手段としても活用されています。特に、デジタル技術や新しい素材の進化により、アブソルートアートの表現の幅はさらに広がっています。



まとめ

アブソルートアートは、芸術を純粋な形で追求し、現実世界の影響や制約から完全に独立した表現を目指す芸術概念です。その純粋性と自律性から、現代美術において重要な意義を持っています。特に、デジタル技術や新しい素材の進化により、アブソルートアートの表現の幅はさらに広がり、今後も新たな可能性を切り開く存在となるでしょう。


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