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美術におけるギリシャの黒絵式陶器とは?

美術の分野におけるギリシャの黒絵式陶器(ぎりしゃのくろえしきとうき、Black-figure Pottery、Céramique à figures noires)は、紀元前7世紀から紀元前5世紀にかけて古代ギリシャで制作された陶器の様式を指します。この様式は、赤い粘土の表面に黒い釉薬を塗り、細部を彫り込むことで図像を表現する技法が特徴です。黒絵式陶器は、神話や日常生活の情景を題材とし、古代ギリシャの美術や文化を伝える重要な資料となっています。



黒絵式陶器の歴史と特徴

黒絵式陶器は、紀元前7世紀にコリントスで始まり、後にアテネで発展しました。この様式は、赤い粘土の表面に黒い釉薬を塗り、細部を彫り込むことで図像を表現する技法が特徴です。特に、人物や動物の輪郭線を黒く塗りつぶし、細部を彫り込むことで、図像に立体感を与えることができます。

黒絵式陶器の題材は、神話や英雄譚、日常生活の情景など多岐にわたります。特に、ホメロスの叙事詩やギリシャ神話に基づいた物語が多く描かれ、古代ギリシャの文化や宗教を伝える重要な資料となっています。



黒絵式陶器の制作技法

黒絵式陶器の制作技法は、まず赤い粘土を成形し、乾燥させます。その後、表面に黒い釉薬を塗り、図像を描きます。図像の細部は、針や彫刻刀を使用して彫り込み、黒い釉薬の下にある赤い粘土を露出させます。これにより、図像に立体感や細部の表現が可能となります。

最後に、陶器を窯で焼成し、黒い釉薬を定着させます。焼成の過程で、黒い釉薬は光沢を帯び、赤い粘土とのコントラストがより鮮明になります。これにより、図像がより立体的に見えるようになります。



黒絵式陶器の文化的意義

黒絵式陶器は、古代ギリシャの美術や文化を伝える重要な資料です。特に、神話や英雄譚を題材とした作品は、古代ギリシャの宗教や価値観を反映しています。また、日常生活の情景を描いた作品は、当時の人々の生活や習慣を知る手がかりとなります。

さらに、黒絵式陶器は、後の赤絵式陶器や他の美術様式に影響を与えました。特に、赤絵式陶器は、黒絵式陶器の技法を発展させたものであり、両者は古代ギリシャの陶器美術の二大様式として知られています。



まとめ

ギリシャの黒絵式陶器は、古代ギリシャの美術や文化を伝える重要な様式であり、その技法と題材は後世の美術に大きな影響を与えました。特に、神話や日常生活の情景を描いた作品は、古代ギリシャの文化や価値観を理解する上で貴重な資料となっています。今後も、黒絵式陶器は美術史において重要な役割を果たし続けるでしょう。


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