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美術におけるポスターカラーとは?

美術の分野におけるポスターカラー(ぽすたーからー、Poster Color、Couleur pour affiches)は、水性絵具の一種であり、発色の鮮やかさと不透明性を特徴とする塗料を指します。速乾性と塗り直しのしやすさから、ポスター制作やイラスト、デザインワークに広く使用されています。



ポスターカラーの起源と普及の歴史

ポスターカラーは、19世紀末から20世紀初頭にかけて、商業広告やポスター制作の需要に応えるために開発されました。アクリル絵具や油絵具に比べ、手軽に扱え、乾燥も速いため、短時間で仕上げる必要がある商業美術において重宝されました。

特に20世紀中盤には、グラフィックデザインや漫画原稿の彩色、建築パースの着色など、多岐にわたる分野で使用され、プロフェッショナル向けの標準的な画材となりました。日本では、1950年代以降に学校教育にも取り入れられ、子供から大人まで幅広い層に親しまれる画材となっています。

さらに、視認性の高さと手軽さから、公共ポスターやイベント告知、舞台背景画などにも積極的に用いられ、社会全体に広がる重要な表現手段となっていきました。



ポスターカラーの技術的特性とメリット

ポスターカラーは、顔料を樹脂系または糊系のバインダーで分散させた水性絵具であり、マットで不透明な仕上がりが特徴です。一般的な水彩絵具と異なり、下地の色を隠す力が強く、重ね塗りや修正が容易にできる点が大きなメリットです。

乾燥後も水で再溶解できるため、塗り直しや微調整がしやすいのも特徴です。また、発色が強く、蛍光色や金銀色など多彩なラインナップも揃っており、表現の自由度が高い画材として評価されています。

筆ムラが出にくく、均一な面を作りやすい性質から、デザイン画やイラストレーションの現場でも広く愛用されています。初心者からプロフェッショナルまで幅広い用途に適応できる柔軟性も大きな魅力です。



ポスターカラーの使用シーンと活用例

ポスターカラーはその名のとおり、ポスター制作を中心に幅広いシーンで活用されています。広告デザイン、建築プレゼン用パース、イラスト、漫画背景、美術教育など、多岐にわたる領域で利用されています。

また、学校教育の現場では、図工や美術の授業において基本的な色彩表現を学ぶための教材としても使われ、アートに親しむ第一歩として機能しています。さらに、DIYポスター作成や、アートイベントでのライブペインティングにも適しており、手軽でありながら本格的な仕上がりを目指せる点が支持されています。

特に平面性を活かしたビジュアル表現に優れており、漫画やアニメ業界では、原画彩色用としても長年利用され続けています。



現代におけるポスターカラーの位置づけと進化

近年では、アクリルガッシュなどの新しい水性不透明絵具の登場により、ポスターカラーの使用範囲は一部で縮小しつつありますが、特有のマットな質感と再溶解性への評価は根強く残っています。

加えて、デジタルツールが主流となる現代においても、アナログならではの手作業感や偶然性を求めるクリエイターから高い支持を受けています。製品開発も進み、耐久性や色鮮やかさをさらに向上させたラインナップが展開され、新たな表現ニーズにも応えるようになっています。

これにより、ポスターカラーは単なる旧来の画材ではなく、現代アートやデザイン表現における「選択肢の一つ」として、重要な位置づけを保ち続けています。



まとめ

「ポスターカラー」は、鮮やかな発色と不透明性、速乾性を兼ね備えた万能な水性絵具です。

広告、デザイン、教育、イラストなど、さまざまな分野で活用され、プロからアマチュアまで幅広い層に支持されてきました。

今後もアナログ表現の重要性が見直される中で、ポスターカラーは創造活動を支える大切な画材として、多様な展開を続けるでしょう。

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