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美術におけるろくろとは?

美術の分野におけるろくろ(ろくろ、Wheel Turning)は、陶芸や彫刻などで使用される道具で、粘土を回転させながら成形するために使用される器具です。ろくろは、粘土を均等に回転させることによって、手のひらや道具で形を整えることができ、陶器や土器などの制作において非常に重要な役割を果たします。現代のろくろは電動式が主流ですが、伝統的な手動式のものも使われています。



ろくろの歴史と起源

ろくろの起源は非常に古く、紀元前3千年頃のメソポタミアやエジプトで見られるようになりました。当初は手動式で、粘土を素早く回転させながら器を作るために使用されていました。ろくろの技術が発展するにつれて、粘土細工の精度が向上し、陶芸品がより精緻になりました。

古代ギリシャやローマでは、ろくろを使った陶器制作が盛んになり、その技術は中世ヨーロッパにも伝わりました。日本でも、平安時代や鎌倉時代にはろくろを使用した陶器作りが行われ、特に茶器などでその技術が発展しました。

現代では、電動ろくろが普及し、精密な形状の陶芸品が短時間で作れるようになっていますが、伝統的な手動式ろくろも一部で使用され、手作業による温かみのある作品が作られ続けています。



ろくろの構造と使い方

ろくろは、基本的に中央に粘土を置き、その周囲に回転する円盤がある構造をしています。ろくろの円盤は、手動または電動で回転させ、粘土を均等に回しながら形を整えることができます。以下は、ろくろの主な特徴と使い方です:

  • 電動ろくろ: 現代の電動ろくろは、モーターで円盤を回転させることで安定した速度を提供します。これにより、陶芸家は形を整える際に均等な力を加えることができ、精密な器を作りやすくなります。
  • 手動ろくろ: 手動式のろくろは、円盤を足で回転させたり、手で回したりするタイプです。電動ろくろに比べて作業に時間がかかりますが、より柔軟に形を作ることができ、手仕事の温かみが感じられる作品が生まれます。
  • 中心に置く粘土: 粘土をろくろの中心にしっかりと固定し、回転させながら手のひらや道具を使って形を整えていきます。力加減や手のひらの使い方によって、器の高さや広がりを調整します。

ろくろの使い方において重要なのは、円盤を均等に回しながら、粘土を適切に圧力をかけて成形する技術です。陶芸家はその技術を駆使して、器を作り出します。



ろくろを使った陶芸の技法

ろくろは、陶芸において非常に多くの技法に使用されます。以下は、ろくろを使った代表的な陶芸技法です:

  • 手びねり: ろくろの上で粘土を回しながら、手で細かく成形していく技法です。立体的な形を作るために、ろくろの回転を利用しながら、粘土を圧縮したり伸ばしたりすることで、器や陶器が作られます。
  • 高台作り: 高台(器の底部)を作る技法で、ろくろを使って器の底を少し高めに成形します。高台を作ることで、器が安定し、装飾的な要素も加えられます。
  • 成形と修正: 初期の成形後に、ろくろの上で修正を加えて形を整えることができます。たとえば、器の縁を削ったり、微調整を行ったりすることで、最終的なデザインを決めます。
  • 釉薬(ゆうやく)の施し: 焼成後、ろくろで作った陶器に釉薬を塗り、再度焼成して光沢感や色味を加える技法です。釉薬を施すことで、陶器の美しさが引き立ち、装飾的な効果が生まれます。

これらの技法を組み合わせることで、ろくろで作られた作品は様々な形状やデザインを持つことができます。



ろくろの応用と現代陶芸

ろくろは現代陶芸においても広く使用されており、特にインディヴィジュアルな作品作りにおいて重要な技法とされています。ろくろを使った作品は、伝統的な陶器から現代的なアート作品に至るまで多岐にわたります。陶芸家はろくろを使用することで、精緻で美しい器を作り出すだけでなく、形や質感に深みを与えることができます。

また、ろくろ技法を取り入れた現代アートでは、実験的な形状や異素材との融合が進んでおり、新しい表現方法を開拓しています。ろくろを使った陶芸作品は、デザインや技術の進化に合わせて進化し、現代のアートとしての重要な位置を占めています。



まとめ

「ろくろ」は、粘土を回転させながら形を作る陶芸の技法であり、古代から現代に至るまで多くの陶芸家に愛用されています。

この技法は、形を作るための精緻な技術を必要とし、現代陶芸においても重要な役割を果たし続けています。

ろくろは、今後も新しい技法や素材とともに進化し、陶芸やアートの世界においてさらなる可能性を切り開くことが期待されています。

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