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美術における下地処理とは?

美術の分野における下地処理(したじしょり、Priming)は、絵画や彫刻などの制作において、素材に適した基礎作業を施すことを指します。下地処理は、絵具が定着しやすくするためや、作品の長期的な保存性を高めるために必要な工程です。主にキャンバス、木材、紙などの素材に対して行われ、仕上がりの品質に大きな影響を与えます。



下地処理の目的と重要性

下地処理の主な目的は、絵具や他の材料が素材に適切に付着するようにすることです。特に油絵やアクリル絵画では、下地処理が行われないと、絵具が剥がれたり、乾燥が不均一になったりする可能性があります。これにより、作品の耐久性が低下し、長期的に劣化するリスクが高くなります。

また、下地処理は、素材の表面を整える役割も果たします。例えば、キャンバスや木材の表面がザラザラしていると、絵具が均等に塗布されず、望んだ仕上がりが得られません。そのため、下地処理を施すことで、スムーズで均一な塗布が可能となります。



下地処理の種類と方法

下地処理の方法は、使用する素材や絵画の技法によって異なります。以下に代表的な下地処理の方法を紹介します。

  • キャンバスの場合 キャンバスにおいては、まず表面をきれいに整え、その後、ジェッソ(下地材)を塗ります。ジェッソは、キャンバスに薄く均一に塗ることで、絵具がしっかりと定着し、作品の表面が滑らかになります。通常、ジェッソを2?3回塗り、乾燥後に軽くサンドペーパーで磨きます。
  • 木材の場合 木材の場合は、まず木の表面をサンドペーパーで滑らかにし、必要に応じて下地を塗ります。一般的には、油性の下地材やジェッソを使用します。木材の質感や風合いを生かすため、下地の厚さや塗り方に工夫を凝らすこともあります。
  • 紙の場合 紙には、特に水彩画やアクリル絵画を行う場合、下地処理が重要です。紙の表面を補強するために、軽くコーティングすることがあります。アクリルや水彩の下地用の専用の下地材を使って、紙の吸水性を調整することが一般的です。

それぞれの素材に適した下地処理を行うことで、絵具の発色や表現力が向上し、作品の完成度を高めることができます。



下地処理を施すタイミングと乾燥の重要性

下地処理を施すタイミングは、使用する素材や絵画の方法によって異なりますが、通常は制作を始める前に十分な時間をかけて行います。ジェッソやその他の下地材は、塗布後に完全に乾燥させることが重要です。乾燥時間が不十分だと、絵具が定着せず、下地材が剥がれることがあります。

乾燥が不十分だと、絵具がその上にきちんと塗布されず、仕上がりが粗くなることもあります。特に油絵の場合、下地の乾燥には時間がかかるため、十分に乾燥させてから絵具を塗り重ねることが推奨されます。



下地処理の素材と道具

下地処理を行うためには、適切な素材と道具を使用することが必要です。以下は一般的に使用される素材と道具です:

  • ジェッソ:キャンバスや木材に塗る基礎材で、絵具の密着性を高めます。
  • サンドペーパー:表面を整え、滑らかにするために使用します。仕上げ時に細かい粒度のものを使って磨くと、より均一な下地が得られます。
  • :下地材を均等に塗るために使用します。幅広い筆や平筆が適しています。
  • クレヨンや鉛筆:下地処理を施す前に、デザインを軽く描くこともあります。

これらの道具を正しく使うことで、下地処理がスムーズに進み、最終的な絵画の仕上がりに大きな影響を与えることができます。



まとめ

下地処理は、絵画制作における基本的な工程であり、絵具の定着性や作品の持ちを良くするために不可欠な作業です。素材に適した下地処理を行うことで、絵具が均等に塗布され、作品の完成度が向上します。

また、下地処理には十分な乾燥時間が必要であり、使用する道具や材料にも注意を払うことが、良い結果を生み出すための鍵となります。

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