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美術における地塗りとは?

美術の分野における地塗り(じぬり、Priming、Appret)とは、絵画やその他の芸術作品において、下地として使用される塗料や素材を指します。地塗りは、キャンバスや木材、壁面などに適切な塗装を施すことで、絵具がよりよく定着するようにするための重要な準備作業です。



地塗りの目的と役割

地塗りは、絵画において非常に重要な役割を果たします。主な目的は、表面を均一にし、絵具がよりよく定着するための下地を作ることです。地塗りを施すことで、キャンバスや木材の吸収性を調整し、絵具が適切に発色し、長期間にわたって色あせやひび割れを防ぐことができます。

また、地塗りには、絵画における構図や質感を整える効果もあります。特に油絵などでは、地塗りが完成度を高め、絵具の伸びやのりを良くするため、画家にとっては欠かせない作業です。



地塗りの歴史と材料

地塗りの技術は古代から存在し、特に西洋絵画においてはルネサンス時代に重要視されました。初期の絵画では、地塗りに鉛白を使用したり、粘土や石膏を基にした下地が用いられていました。これらの材料は、絵具の定着を助け、さらに表面を滑らかにする役割も果たしていました。

近代以降、絵画に使う地塗りの材料としては、アクリル系や合成樹脂を使用したものが一般的になり、より乾燥が早く、耐久性が高い製品が登場しています。これにより、画家はより短時間で安定した絵画制作が可能になりました。



地塗りの種類と技法

地塗りにはさまざまな種類と技法があり、絵画の目的や使用する絵具の種類によって選ばれます。主な地塗りの種類には、以下のものがあります:

1. ?(にかわ)地塗り:古典的な技法で、動物性のにかわを使って地塗りを施します。これにより、絵具が強く定着し、画面に深みを与えることができます。

2. アクリル地塗り:現代の絵画で一般的に使用される地塗りです。アクリル絵具と同じ素材を使用することで、乾燥が早く、作業効率が良いという特徴があります。

3. 石膏地塗り:油絵やテンペラ画で使われることが多い技法で、石膏を基にした地塗りです。これにより、表面が滑らかになり、絵具の密着度が向上します。



地塗りの仕上がりとその重要性

地塗りは、絵画の仕上がりに大きな影響を与えます。適切な地塗りが施されていない場合、絵具がキャンバスに浸透してしまったり、色が均一に発色しないことがあります。そのため、画家は地塗りの段階で十分に乾燥させ、均一な塗装を心がけることが求められます。

地塗りはまた、絵画における質感や色彩の深みを決定づける要素でもあります。特に油絵においては、地塗りの質によって最終的な仕上がりが大きく変わるため、細心の注意を払いながら作業する必要があります。



まとめ

「地塗り」は、絵画制作において欠かせない準備作業であり、絵具の定着や発色、耐久性を高めるために行われます。地塗りは、絵画の質感や色彩の深みを引き出すためにも非常に重要な工程です。

その歴史は長く、現代ではアクリル系や合成樹脂を用いた地塗りが一般的に使用され、作業効率が向上しています。適切な地塗りを施すことで、絵画はより完成度の高いものとなり、長期的に美しさを保つことができます。

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