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美術における陶磁器とは?

美術の分野における陶磁器(とうじき、Porcelain and Ceramics)は、土や粘土を原料として作られる焼き物で、特に陶器と磁器を総称する言葉です。陶磁器は、焼成時に釉薬(ゆうやく)を使用して美しい表面を作り、器や装飾品、日常用品などに多く用いられます。陶器は比較的粗い質感を持つのに対して、磁器は白く硬い質感が特徴で、両者の違いを理解することが重要です。



陶磁器の歴史と起源

陶磁器の起源は、古代の中国にさかのぼります。紀元前に始まった陶器や磁器の焼成技術は、アジア、ヨーロッパをはじめ、世界中に広まりました。中国では、最初に陶器が作られ、その後、磁器の技術が発展しました。特に、唐代や宋代における青磁や白磁、景徳鎮の磁器は、世界的に有名で、磁器の技術が洗練されました。

日本においても、陶磁器は非常に重要な役割を果たし、特に江戸時代においては、茶道の道具や食器として大変重要な位置を占めました。日本では、信楽焼きや有田焼、伊万里焼きなど、地域ごとに特色のある陶磁器が作られました。



陶器と磁器の違い

陶磁器は、陶器と磁器という2つの主要なカテゴリに分けられます。これらは原料や焼成方法の違いによって区別されます:

  • 陶器(とうき):陶器は、粘土を主成分とする焼き物で、焼成温度が比較的低く、表面が粗い質感を持っています。陶器は比較的多孔質で、水分を吸収しやすい特性があります。釉薬を施さずに素朴な風合いを持つものや、釉薬を使って艶を加えたものがあります。
  • 磁器(じき):磁器は、陶器よりも高温で焼成され、非常に硬く、透明感のある白い質感が特徴です。磁器の土は、陶器に比べて非常に細かく、焼成後に非多孔質で密度が高く、光沢を持つため、磁器は非常に精緻で美しい仕上がりになります。

陶器は日常的な器として親しまれ、磁器は高級食器や装飾品として特に高い評価を受けてきました。両者の違いを理解し、使い分けることが、陶磁器の世界をより深く楽しむ鍵となります。



陶磁器の制作技法と種類

陶磁器の制作には、さまざまな技法が使用されます。特に陶器と磁器の制作過程は異なり、それぞれの特徴を生かした方法が採用されています:

  • 手びねり:土を手で形作る最も古典的な方法で、自由な形状や個性的な表現を作ることができます。陶器でも磁器でも使用される技法です。
  • ろくろ成形:ろくろを使って、土を回転させながら円形に成形する方法です。磁器や陶器の器を作る際に多く使用されます。
  • 型取り:陶器や磁器の型に土を流し込んで成形する方法です。繊細なデザインや複雑な形状を作るのに適しています。
  • 釉薬(ゆうやく)の施し:釉薬を土の表面に塗ることで、艶やかな仕上がりを作ります。陶器には比較的厚い釉薬が使われることが多く、磁器では薄い透明感のある釉薬が使用されます。
  • 焼成(かしこみ):焼成の温度や方法も、陶器と磁器で異なります。陶器は通常800?1200度で焼成され、磁器は1200?1400度で焼かれます。

これらの技法を駆使して、陶芸家はさまざまな形状や質感の陶磁器を作り出しています。



陶磁器の釉薬と装飾

陶磁器では、釉薬を使って表面を装飾することが一般的です。釉薬には、色を加えるための色釉や、素朴な美しさを強調するための透明釉などがあります。また、釉薬を施すことで、陶磁器の耐水性や耐久性が向上します。

  • 色釉:釉薬に色を加えることで、磁器や陶器に鮮やかな色を持たせることができます。青、赤、緑などの色が多く、装飾的な役割を果たします。
  • 透明釉:透明釉を施すことで、土の色や模様が引き立ち、素朴でナチュラルな美しさを表現できます。特に陶器に適しています。
  • 金銀彩:金や銀を使った装飾で、特に高級な陶磁器に使用されます。金銀の装飾は、磁器に高級感を与えます。
  • 絵付け:釉薬の上に絵や模様を描く技法で、花鳥風月や風景、人物などさまざまなモチーフが描かれます。特に有田焼きや景徳鎮の陶器に見られます。

釉薬や装飾技法を活かして、陶磁器に個性や美しさを加えることができます。



まとめ

陶磁器は、陶器と磁器という2つの大きなカテゴリに分かれ、それぞれ異なる特徴を持っています。陶芸家は、土や釉薬、焼成方法を使い分けながら、機能的かつ美しい作品を作り上げています。陶磁器の歴史や制作技法、装飾方法を理解することで、より深くその魅力を楽しむことができるでしょう。

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