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イベント業界におけるマスターショットとは?

イベント業界における「マスターショット」(ますたーしょっと、Master Shot、Plan maître)とは、ステージや講演会などでの映像制作において、全体のシーンを一括して捉えるための主要なカメラショットを指します。英語では「Master Shot」、フランス語では「Plan maître」と表記され、イベント全体の動きや構成が把握できるようにシーン全体を記録する手法です。マスターショットは、編集時に他のカメラアングルと組み合わせる際の基礎映像となり、イベント映像の安定した進行をサポートします。


マスターショットの歴史と由来

「マスターショット」という用語は、元々映画業界で使用されていました。映画撮影において、シーン全体のアクションや演技を包括的に記録するための手法として発展しました。映画のシーンごとに、登場人物全体の動きや対話の流れを一度に撮影し、その後、必要に応じてクローズアップや異なる角度からのショットを加えて編集することが行われます。このアプローチにより、全体的な流れを確認しながらも、詳細な映像を補完することができます。

20世紀中盤に映画業界で確立されたマスターショットの技法は、テレビやライブイベントの映像制作にも広まりました。イベントやコンサート、講演会などで、ステージ全体やパフォーマンス全体を俯瞰的に捉えることで、視聴者に一貫性のある映像体験を提供しやすくなったのです。マスターショットは、現代のイベント映像制作においても、基本的な手法の一つとして重要な役割を担っています。

マスターショットの現在の使われ方

現在のイベント業界では、マスターショットは特にライブイベントやハイブリッドイベントで広く利用されています。以下は、マスターショットが具体的にどのように使用されているかの例です。

1. ライブコンサートや音楽フェスティバル:ステージ全体やバンドメンバー全員のパフォーマンスを一度に捉えるため、マスターショットはコンサート映像制作で重要な役割を果たします。メインカメラがステージ全体を捉え、その後、各メンバーや楽器のクローズアップショットを組み合わせて編集します。

2. 講演会やカンファレンス:講演者の全体像や、ステージ上のスクリーン、参加者の反応を含めて全てを映し出すため、マスターショットは講演会映像制作でよく使われます。このショットを基にして、講演者の顔やプレゼンテーション資料の詳細なショットが編集時に追加されます。

3. 演劇や舞台公演:舞台全体の動きを把握するため、マスターショットは演劇やミュージカルの映像記録において重要です。俳優や舞台装置の全体的な位置関係を記録し、シーンの流れや演出効果を維持したまま映像化することができます。

4. ハイブリッドイベントやウェビナー:オンライン視聴者に対してイベント全体の雰囲気を伝えるため、マスターショットは必要不可欠です。ステージの様子や、会場全体の配置を把握するために、広角で撮影されることが多く、遠隔参加者にもリアルな体験を提供します。

マスターショットの特徴と重要性

マスターショットの特徴は、全体の視点を提供するという点にあります。イベント全体の流れや、ステージ上の動き、観客の反応を一つのフレームで捉えることで、映像の一貫性が保たれます。これにより、視聴者はイベント全体の雰囲気や構造を理解しやすくなり、映像がスムーズに進行します。

また、編集の基礎としての役割もマスターショットの重要な要素です。クローズアップや別角度のショットを編集で加える際、マスターショットがあることで、全体の構成を維持しながら必要な部分を補完することが可能です。このため、マスターショットはイベント映像制作における土台となり、編集時の柔軟性を高める効果があります。

さらに、マスターショットはトラブル回避の手段としても役立ちます。ライブイベントや一回限りの公演では、カメラのトラブルやミスショットが発生することがありますが、マスターショットが確保されていれば、他の映像が使えなくなっても最低限の映像を提供できる安心感があります。

マスターショットの撮影手順とポイント

マスターショットを撮影する際の基本的な手順は次の通りです。

1. カメラの設置位置選び:マスターショットでは、ステージ全体やイベント全体をカバーできる視点が必要です。通常、観客席の後方やステージの正面中央にカメラを配置します。広角レンズを使用することが一般的ですが、イベントの規模や内容に応じて調整します。

2. フレーミングの確認:すべての重要な要素がフレーム内に収まるように設定します。講演者、ステージのスクリーン、パフォーマーの全体像など、映像に欠かせない要素がしっかりと収まるかを確認します。

3. 照明や音響の調整:マスターショットでは映像だけでなく、音声も重要です。ステージの照明や音響が適切に設定されているかを確認し、映像において視聴者に違和感のない仕上がりを目指します。

4. 他のショットとの連携:マスターショットは他のショットと組み合わせる前提で撮影されます。クローズアップや特定の角度からのショットを補完するために、全体の流れを壊さないよう意識して撮影します。

マスターショットの今後の展望

テクノロジーの進化に伴い、マスターショットの撮影方法も進化しています。特に、ドローンや360度カメラの使用により、従来の固定カメラとは異なる視点から全体を捉える新しいスタイルが登場しています。これにより、視聴者によりダイナミックで臨場感のある映像を提供できるようになっています。

また、ライブストリーミングの普及により、マスターショットの重要性はさらに高まっています。リアルタイムでの映像配信では、マスターショットが基本の映像となり、オンライン視聴者に全体の流れを伝える役割を果たしています。今後も、マスターショットはイベント映像制作における重要な技法として、さらなる進化を遂げていくでしょう。


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