【アウトドアクッキングとは？】ビジプリ飲食・飲食用語辞典

アウトドアクッキングの歴史と発展

アウトドアクッキングの起源は、実に人類の生活の根幹に遡ります。火の発見以来、人は屋外で木や石を使い、自然の中で食を調理してきました。原始時代から焚き火を使った煮炊きや焼き料理は存在し、これが今日のアウトドアクッキングの源流といえます。

現在のようなレジャーとしてのアウトドアクッキングが一般に普及したのは、20世紀以降、特に欧米のキャンプ文化の浸透とともに拡大しました。アメリカではバーベキュー（BBQ）が家庭文化として根付き、同様にヨーロッパでも「パエリアパーティー」「焚き火料理」などが親しまれてきました。

日本においても、昭和後期からアウトドアレジャーの一環としてバーベキューやキャンプ料理が徐々に普及し、近年の「ソロキャンプ」や「グランピング」ブームを背景に、アウトドアクッキングという言葉が定着してきました。

また、東日本大震災以降、災害時の調理法としても注目され、アウトドアスキルが「サバイバル技術」としても価値を持つようになっています。歴史的背景の中で、アウトドアクッキングは「生きる知恵」としての側面と、「楽しむための技術」としての側面を両立させて発展してきたのです。

アウトドアクッキングに用いられる器具と技法

アウトドアクッキングは、屋内調理とは異なる環境で行われるため、使用する器具や技法も多種多様です。以下に代表的な器具とその用途を紹介いたします。

• ダッチオーブン：鋳鉄製の厚手鍋。焚き火の中に直接入れて調理ができ、煮込み・焼き物・パン作りに最適です。
• スキレット：鉄製のフライパンで、熱伝導が良く、ステーキやハンバーグなどの焼き料理に適しています。
• 焚き火台：直火NGの場所でも使用できる、火を安全に楽しむための調理台。
• グリル網・鉄板：焼き肉や野菜のグリルに使用。
• メスティン：アルミ製の飯盒。炊飯から蒸し料理、焼き物までこなせる万能ツール。

調理技法としては、直火調理・蒸し焼き・スモーク・炭火焼き・アルミホイル包みなどが代表的です。とくにスモーク（燻製）はアウトドアならではの香りを楽しめる人気技法で、チーズやソーセージ、ナッツ、魚介類など幅広い食材に応用できます。

また、最近ではガス式のポータブルバーナーや電気グリルなど、環境への配慮や利便性を重視した近代的器具も登場しており、初心者でも安心してアウトドアクッキングを始められる環境が整っています。

飲食業界におけるアウトドアクッキングの活用と展望

飲食業界では、アウトドアクッキングを以下のような形でビジネスに取り入れる事例が増えています。

• グランピング施設との連携：アウトドア体験付きの食事提供サービス（セットメニュー、調理キットなど）
• BBQイベントの企画・運営：地域フェスや企業の福利厚生として人気の野外調理体験
• キャンプ場向けケータリング：あらかじめ仕込んだ食材を現地で加熱・提供
• 移動販売車（キッチンカー）：アウトドア会場での調理販売に対応した設備と運営
• アウトドア料理教室：初心者向けに器具の使い方や火起こし方法を指導するサービス

このように、「体験型飲食ビジネス」としての活用が進んでおり、特にコロナ禍以降は「密を避けたレジャー」として注目を集めました。また、飲食店の新たな収益源として「アウトドア出張料理人」といった新職種の誕生もみられます。

さらに、アウトドアクッキングと地産地消、オーガニック食材、サステナビリティといったテーマとの親和性も高く、今後は地域活性化や観光促進との連携も期待されています。

まとめ

アウトドアクッキングは、食文化と自然体験を融合させた現代的なレジャー調理スタイルとして注目されています。

その起源は古く、人類の生活の原点とも言える野外調理から発展してきました。現在では、キャンプやグランピングの人気とともに一般層にも広がり、飲食業界でもイベント、ケータリング、体験型サービスなどさまざまな形で取り入れられています。

器具や技法も進化し続け、初心者から上級者まで楽しめる幅広いレベルのアウトドア料理が可能となっています。これからの飲食業界において、屋外という非日常空間での食体験は、サービスの差別化や新たな収益モデルとして大きな可能性を秘めているといえるでしょう。