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飲食業界におけるアウトドアダイニングとは?

飲食の分野におけるアウトドアダイニング(あうとどあだいにんぐ、Outdoor Dining、Restauration en plein air)は、屋外の空間で食事を提供・楽しむスタイルのことを指します。レストランのテラス席やガーデン席、公園内のピクニックエリア、屋上庭園、フードイベント、さらにはキャンプ場など、屋外の開放的なロケーションで食事をする体験全般を意味します。

英語では「Outdoor Dining」、フランス語では「Restauration en plein air」と表記され、どちらも文字通り「外での食事」を意味する言葉として世界中で広く用いられています。

アウトドアダイニングは、特に近年、感染症対策としての「密を避けた飲食スタイル」として注目を集め、都市部の飲食店から地方の観光地に至るまで導入が拡大しています。空気の流れがよく、景観や自然を感じながら食事ができることから、リラックス効果や五感を使った食の体験価値が高まると評価されています。

また、飲食業界では、アウトドアダイニングを通じた新たなブランディングやサービスの差別化、地域活性化のツールとしての活用も進められています。とりわけ、屋外イベントとの連動や季節限定の「ビアガーデン」「サマーテラス」「星空ディナー」など、特別な体験としての価値が強調される傾向にあります。

このように、アウトドア空間を活かした飲食体験は、単なる食事の場を超えて、飲食業界における体験価値の創出や集客施策として重要な役割を担っています。



アウトドアダイニングの歴史と背景

アウトドアダイニングの起源は古く、古代ローマ時代や中世ヨーロッパにおける屋外祝宴にそのルーツを見出すことができます。当時、貴族たちは庭園や広場にテーブルを設けて宴を開き、開放的な空間で食を楽しむ文化が広がっていました。

現代的な意味でのアウトドアダイニングは、19?20世紀の欧米諸国、特にフランスやイタリアのカフェ文化が発祥です。歩道に並ぶテラス席でコーヒーや食事を楽しむスタイルは「街の景色の一部」として親しまれ、観光要素とも融合して発展していきました。

日本では、バブル経済期に「ルーフトップバー」「屋上レストラン」といったスタイルが一部で広まりましたが、一般的な普及は限定的でした。大きな転換点となったのは2020年以降のコロナ禍です。屋内飲食の制限や「三密回避」の推進により、店舗や自治体は積極的に屋外スペースの活用に踏み切り、「アウトドアダイニング」という言葉も定着し始めました。

現在では、公道の一部を飲食スペースとして許可する「オープンテラス営業」や、「歩行者天国×食」イベントなど、都市政策と連携した取り組みも見られるようになっています。



アウトドアダイニングにおける飲食業界の取り組み

アウトドアダイニングは飲食業界にとって単なる「席の拡張」ではなく、新たな付加価値を生み出す空間演出として活用されています。以下のような具体例が挙げられます。

  • 季節イベントとの連動:春の「桜ダイニング」、夏の「ビアガーデン」、秋の「紅葉ディナー」など、自然との調和をテーマにした演出。
  • 非日常空間の演出:屋上や海辺、キャンプ場など、通常のレストランでは味わえないロケーションを活用。
  • ポップアップダイニング:期間限定で公園や空き地に設営される飲食ブースやトレーラーハウス形式のレストラン。
  • 感染対策としての導入:屋外の換気性の良さを生かしたソーシャルディスタンス確保。
  • 自治体・観光施策との連携:観光客向けに「ご当地グルメ×絶景」体験を提供する地方自治体との共催企画。

また、テーブル設置・衛生管理・雨天対策・照明・暖房設備など、アウトドアダイニングのインフラ整備に関するノウハウも進化しています。近年では、商業施設やホテルが常設型のアウトドア席を整備する動きも加速しており、「一過性」から「日常の選択肢」としての定着が進んでいます。



アウトドアダイニングの今後と展望

今後、アウトドアダイニングは単なる席の増設を超えて、飲食業界における価値創造の核としての役割を担っていくと考えられます。

特に以下のような展開が期待されています:

  • グリーンマーケティングとの融合:環境に優しいサステナブルな食材や容器、エコ設計の導入による好感度アップ。
  • ウェルビーイングの追求:自然との調和や開放感を味わえる食事体験として、健康意識の高い層への訴求。
  • 観光・地域振興のコンテンツ化:地元食材を使った「地産地消ダイニング」、観光地の新たな魅力づくりとしての展開。
  • テクノロジーとの融合:モバイルオーダー、非接触決済、ARメニューなど、屋外環境でも快適にサービスを受けられる仕組みの構築。

さらに、気候対応型の屋外スペース(冷暖房設備やテント屋根付きの常設施設など)の普及により、通年型アウトドアダイニングの可能性も広がっており、これまでの「夏季限定」「イベント型」からの脱却が進んでいます。



まとめ

アウトドアダイニングは、自然の中で食事を楽しむという単純な行為に、健康・安心・非日常・地域性など、多様な価値を掛け合わせることで、現代の飲食業界において重要な位置づけを確立しつつあります。

コロナ禍によってその必要性が急速に広がりましたが、今や「選ばれる理由」の一つとして定着しており、今後も空間演出や地域資源との連動によって、さらなる進化が期待されます。

飲食業界における差別化や新たな顧客層の開拓を目指す上で、アウトドアダイニングは引き続き注目すべきトレンドといえるでしょう。

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