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飲食業界におけるアップルパイアラモードとは?

飲食の分野におけるアップルパイアラモード(あっぷるぱいあらもーど、Apple Pie a la Mode、Tarte aux pommes a la mode)は、温かいアップルパイに冷たいアイスクリームを添えて提供するデザートスタイルを指します。温と冷、サクサクとトロトロ、甘さと酸味という相反する要素が一皿に凝縮されたこのデザートは、アメリカ発祥の食文化の象徴として知られ、日本のカフェやレストランでも人気メニューの一つとなっています。

「アラモード(a la mode)」は、フランス語で「流行の」や「現代風の」を意味し、アメリカでは「アイスクリームを添えたスタイル」として定着しています。したがって、アップルパイアラモードという言葉には、単なるパイだけではなく「冷たいアイスクリームを添えたモダンな提供スタイル」という意味合いが含まれているのです。

飲食業界においては、デザートとしての満足度が高く、見た目も映えるため、喫茶店からホテルレストラン、ファミリーレストランに至るまで幅広く採用されており、また季節限定メニューとしても登場することが多いです。とくにシナモンやキャラメルソース、ナッツなどをトッピングするアレンジも一般的で、提供者側の工夫によって多彩なバリエーションを展開できることが特徴です。

その「温冷デザート」としての魅力により、フードサービスやカフェ経営において顧客満足度を高めるキラーコンテンツとしての役割も担っており、デザートメニュー構成の中でも根強い人気を誇っています。



アップルパイアラモードの歴史と語源

アップルパイアラモードの起源は、19世紀後半のアメリカにあります。アップルパイ自体はイギリスやヨーロッパからの移民によってもたらされたもので、アメリカで独自に発展し、やがて「アメリカの国民的デザート」としての地位を確立しました。

「アラモード(a la mode)」の語源はフランス語で、「~風に」「流行の」といった意味合いを持ちます。これがアメリカに渡り、「アイスクリームを添えて提供する」という意味に転化したのは、1890年代と言われています。

諸説ありますが、最も有名な逸話の一つは、ニューヨーク州サラトガ・スプリングスのレストランにて、客がアップルパイにバニラアイスクリームを添えて注文したところ、それを見た他の客が「アップルパイ・ア・ラ・モード」と呼び、定着したというものです。

その後、このスタイルは急速にアメリカ中へ広まり、20世紀初頭には主要なレストランの定番デザートとなりました。戦後の日本でもアメリカ文化とともに紹介され、喫茶店ブームやファミレス文化の中で定番スイーツとして浸透していきました。



アップルパイアラモードの特徴と構成要素

アップルパイアラモードの最大の特徴は「温冷のコントラスト」にあります。温かいパイ生地とアイスクリームの冷たさが口の中で絶妙に溶け合い、豊かな食感と風味が楽しめます。

その主な構成要素は以下の通りです:

  • アップルパイ:パイ生地にリンゴのフィリングを詰めて焼き上げたもの。一般的にはシナモンやナツメグが使われ、リンゴは甘酸っぱい品種(グラニースミスなど)が好まれます。
  • バニラアイスクリーム:もっともポピュラーな組み合わせ。温かいパイと冷たいアイスが織りなす食感が魅力です。
  • トッピング:キャラメルソース、シナモンパウダー、砕いたナッツ、ホイップクリームなど。見た目と味のアクセントを加える役割を果たします。

また、プレート上のレイアウトも重要で、視覚的な美しさが消費者の満足度を左右するため、皿の温度管理やアイスの形状、ソースのかけ方などにも工夫が凝らされます。



飲食業界におけるアップルパイアラモードの位置づけと活用法

現代の飲食業界において、アップルパイアラモード「安心感とちょっとした贅沢感」を兼ね備えたスイーツとして、多くの店舗で重宝されています。

カフェ業態では、ランチ後のデザートやティータイムのメニューとして、高い支持を集めており、特に若年層やファミリー層から人気があります。ファミリーレストランでは「食後の定番デザート」として季節問わず提供されており、季節のフレーバーアイスとのセットで期間限定メニューとしても活用されています。

また、高級レストランにおいては、モダンアメリカンやフレンチスタイルのデザートとして再構築され、アーティスティックなプレゼンテーションが加えられた「ガストロノミー・スタイル」のアップルパイアラモードも登場しています。

飲食店にとっては、比較的材料の調達が容易で、仕込みもしやすい一方、提供時の演出によって単価を上げやすいメニューでもあります。特に、アイスの種類やソース、パイのアレンジなどでブランド独自の世界観を表現しやすい点が魅力です。

さらに、SNS映えするビジュアルと「王道スイーツ」の安心感があるため、リピート率向上にも貢献します。



まとめ

アップルパイアラモードは、温かいアップルパイと冷たいアイスクリームを組み合わせた、アメリカ発祥の魅力的なデザートです。

歴史的背景や語源にはフランス文化との関係が見られ、調理法・演出法には多様なバリエーションが存在します。飲食業界では、コストパフォーマンスの良さと高い満足度、SNS映えといった利点から、広範な業態において導入されており、季節限定やカスタムバージョンなどによる発展も続いています。

今後もアップルパイアラモードは、飲食店の定番デザートとしての地位を確保しつつ、進化し続ける存在として注目されることでしょう。

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