【アテンドサービスとは？】ビジプリ飲食・飲食用語辞典

アテンドサービスの歴史と語源

「アテンド（attend）」という言葉は英語の「attend（付き添う、世話をする）」に由来し、日本のビジネス現場では「付き添い業務」「案内サービス」などの意味で使われてきました。もともとは空港やホテル業界で使用されていた用語でしたが、2000年代以降、飲食業界にもその概念が取り入れられるようになりました。

とくに高級レストランや会員制レストランにおいては、料理や空間の演出に加え、一人ひとりのゲストに合わせたサービス提供が重視され、専属のスタッフが付き添って顧客の要望を先回りして対応するアテンドスタイルが確立されてきました。

また、近年では「インバウンド対応」「高齢化社会への配慮」「ダイバーシティ尊重」など、社会的ニーズの多様化により、一般飲食店においても“アテンド型接客”の導入が拡がっています。

語源的には、フランス語の「accompagnement（アコンパニマン）」も近い概念を持ち、レストラン業界では「付け合わせ（料理）」の意味に加え、「ゲストに付き添いながらサービスすること」も示唆する言葉として認識されています。

アテンドサービスの主な業務内容と特徴

飲食業界におけるアテンドサービスは、一般的なホール業務とは異なり、よりパーソナルな接客と臨機応変な判断が求められます。主な業務内容とその特長は以下の通りです。

1. 来店時の出迎えと誘導：入口での笑顔でのご案内から始まり、コートや荷物の預かり、最適な席へのエスコートまでを行います。

2. メニューの説明と提案：料理の特徴やアレルギー情報、食材の産地などを説明し、好みに応じた提案やペアリング（ワイン・日本酒など）も含めて行います。

3. 食事中の気配り：水やドリンクのタイミング、料理のサーブ間隔、会話の邪魔をしない距離感などを適切に配慮します。

4. 特別な配慮：高齢者や子ども連れ、身体の不自由な方、外国人旅行者など、多様なニーズに柔軟に対応することが求められます。

5. 退店時のフォロー：会計後の出口までの誘導、お見送り、次回来店の予約案内など、最後まで丁寧な印象を残します。

このように、“顧客の気持ちを先読みしながら動く”ことがアテンドサービスにおいて何より重要であり、マニュアルだけではなく接客者のホスピタリティ精神と判断力が大きな鍵となります。

アテンドサービスの役割と今後の展望

飲食業界におけるアテンドサービスは、単なるサービスの一形態ではなく、「体験価値（Customer Experience）」を創出するための重要な要素として位置づけられています。

特に以下のような点でその有用性が高まっています：

• 顧客満足度の向上：パーソナルな対応によってリピーター獲得や口コミ評価に直結。
• 店舗ブランドの差別化：料理だけでなく「人」の魅力を通じて記憶に残るサービスを提供。
• 外国人観光客・高齢者対応：多様なニーズに対応するためのソフト面強化として有効。

また、アテンドサービスを担うスタッフには、語学力、マナー知識、テーブルマナー、コミュニケーション能力など、幅広いスキルが求められるようになっており、専門教育の導入や人材育成の重要性も高まっています。

今後はAIやデジタル接客との融合により、さらに効率的かつパーソナライズされたサービスの提供が可能となり、「人による温かみのある接客」と「テクノロジーによる快適性」を融合させた新たなアテンドの形が生まれていくと予想されます。

まとめ

アテンドサービスは、飲食業界においてお客様一人ひとりに寄り添ったホスピタリティを提供するための接客手法です。

来店から退店までを丁寧にサポートすることで、顧客体験を豊かにし、店舗の魅力を高めることができます。

今後、顧客のニーズがますます多様化する中で、アテンドサービスは飲食店の“顔”として、ブランド力と競争力を高める中核的な役割を担っていくことが期待されています。