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飲食業界におけるイートアンドゴーとは?

飲食の分野におけるイートアンドゴー(いーとあんどごー、Eat and Go、Manger et partir)は、短時間で食事を済ませてすぐに退店するスタイル、あるいはそれを前提とした店舗・サービス設計を指す飲食業界用語です。特に都心部や駅近エリア、オフィス街などの立地において、時間に制約のあるビジネスパーソンや通勤・通学途中の顧客をターゲットに導入されることが多く、「スピード×満足度」を両立させる新たな飲食形態として注目されています。

「イートアンドゴー」は、もともと欧米圏におけるファストカジュアル業態やカフェチェーンで広く採用されてきた発想であり、日本でも近年のライフスタイル変化や働き方改革、非接触志向の高まりとともに、多くの飲食事業者が導入を進めています。

具体的には、回転率重視の設計(スタンディング席・共有テーブル・簡易カウンターなど)や、メニューの限定化、モバイルオーダー対応、キャッシュレス決済との連携などが特徴であり、少人数・短時間滞在の顧客に対して効率的かつ快適な飲食体験を提供することが目的です。

英語では「Eat and Go」、フランス語では「Manger et partir」や「Consommation rapide」などと表現され、欧州やアジア圏でも都市型飲食の新しいスタイルとして拡大中です。

つまり、「イートアンドゴー」とは、“必要最小限の時間で最大限の満足”を実現する、効率的な飲食体験の象徴であり、現代社会における多様なライフスタイルに応える柔軟なサービスモデルの一つといえるでしょう。



イートアンドゴーの起源と発展

「イートアンドゴー」というコンセプトは、米国やヨーロッパの通勤文化と都市生活の中で誕生しました。特にニューヨークやロンドンなどの大都市では、「時間をかけずに食事を済ませること」が日常となっており、カフェやデリ、ベーカリーが“食べてすぐ出られる”設計を前提として営業していました。

このスタイルは、「Fast Casual」や「Grab and Go」などの形で世界中に広まり、2010年代からはアジア圏でも取り入れられるようになりました。日本においては、立ち食いそば屋や牛丼チェーンが古くからこのスタイルに近い運用をしていましたが、近年ではより洗練された空間やデジタル技術を活用した形で、“滞在せずに楽しむ”ことが価値とされる業態が登場しています。

2020年以降のコロナ禍をきっかけに、「密を避けたい」「食事は手短に済ませたい」という顧客心理が強まり、「非接触かつ短時間」というキーワードが飲食業界の新たな軸となりました。これにより、「イートアンドゴー」スタイルは再び脚光を浴びるようになります。



イートアンドゴーの構成要素とサービス設計

イートアンドゴー業態は、時間・空間・サービスすべてにおいて“無駄を省いた最適設計”がなされています。以下は、その代表的な特徴です。

1. 座席設計の最小化
スタンディング形式やハイスツール、共有テーブルを活用し、1人あたりの滞在スペースを最小限に抑える工夫がなされています。

2. 注文・提供オペレーションの簡素化
メニューは5?10品目程度に絞られ、モバイルオーダーやセルフレジとの連動で会計もスピーディーに。料理の提供時間も5分以内が目安です。

3. 店舗回転率の最大化
滞在時間の平均を10?15分に設定し、回転率を上げることで収益性を担保するビジネスモデルが採用されています。

4. 通勤・移動中利用を想定した立地
駅ナカや改札付近、オフィス街、大学キャンパス内など、立ち寄りやすく出やすい立地選定が重視されます。

5. テイクアウト・テック連携
飲食スペースを最小限にし、モバイルアプリでの事前注文・決済を導入することで、商品受け取り後に即退店できる設計を実現しています。



飲食業界における導入効果と今後の展望

イートアンドゴーは、従来の“滞在型飲食”とは異なるポジショニングを築いており、様々な飲食業態において導入が進んでいます。

【導入メリット】

・オペレーション効率の向上
人件費・光熱費・厨房スペースを抑える設計で、高効率な運営が可能になります。

・多店舗展開のしやすさ
小規模店舗として展開しやすいため、ショッピングモールや駅構内への出店にも適しています。

・短時間利用者の囲い込み
“サクッと食べたい”ニーズに応えることで、ランチ難民や忙しいビジネスパーソンの固定客化が期待されます。

・回転率と収益性の両立
「席数の少なさ=収益性の低下」とならない点が、この業態の特長でもあります。

【今後の展望】

今後は、「イートアンドゴー×サブスク(定額制)」「イートアンドゴー×健康食」「イートアンドゴー×無人店舗」などの形で進化していくと予測されます。また、AIによる注文予測や混雑状況のリアルタイム通知など、デジタル技術との連携により、より高度な時間管理型サービスとして定着していくでしょう。



まとめ

イートアンドゴーは、現代のスピード重視社会における新たな飲食スタイルとして確立されつつあります。

時間を有効に使いたい顧客と、効率的に回転率を上げたい飲食店。双方のニーズを満たすこのスタイルは、都市生活における“合理性と満足”のバランスを取る優れた解決策として、今後さらに広がっていくことが期待されます。

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