ビジプリ > 飲食業界用語辞典 > 【いかめし】

飲食業界におけるいかめしとは?

飲食の分野におけるいかめし(いかめし、Ikameshi、Encornet farci au riz)は、イカの胴体部分に米を詰めて煮込んだ日本の郷土料理であり、主に駅弁や家庭料理、居酒屋メニューなどで広く親しまれている伝統的な一品です。特に北海道・森町(もりまち)の名物として知られ、その土地で誕生した駅弁は全国的な知名度を誇ります。

調理方法としては、するめいかの内臓を取り除き、洗った胴体にもち米やうるち米を詰めたうえで、醤油・砂糖・みりん・出汁などで甘辛く煮るのが一般的です。イカの旨味とご飯のもちもち感が融合し、食べ応えのある構成となっており、冷めても美味しく食べられるため、弁当や作り置き料理としても高く評価されています。

また、保存性の高さや加熱調理の手軽さから、駅弁や物産展、冷凍食品、通信販売などさまざまな形で商品展開されており、家庭料理としてだけでなく、飲食店の郷土料理メニューや観光向けのご当地グルメとしても活用されています。

英語では「Stuffed Squid with Rice」または「Ikameshi」、フランス語では「Encornet farci au riz」や「Calmar farci a la japonaise」などと訳され、日本食の中でも比較的珍しい「魚介と穀物の一体料理」として、海外でも紹介されています。

つまり、「いかめし」とは、日本の海と田畑が育んだ素材の融合を象徴する郷土の知恵であり、地域文化の発信ツールとして飲食業界で大きな存在感を放っています。



いかめしの起源と発展の歴史

いかめしが誕生したのは、昭和16年(1941年)頃、北海道渡島(おしま)地方・森駅の駅弁として考案されたのが始まりとされています。当時、戦時下において米の供給が制限される中、米の消費量を抑えながら満足感を得られる食品として、イカの中にご飯を詰めるというアイデアが生まれました。

この発想が大ヒットとなり、駅弁として販売されて以降、「森駅のいかめし」として日本全国にその名が知られるようになります。特に昭和40年代以降は、駅弁大会や百貨店の物産展を通じて、地方発の名物料理として人気を集めました。

また、1990年代以降は家庭向けのレトルト・冷凍食品化が進み、スーパーや通販でも入手可能となったことで、家庭料理・お取り寄せグルメとしての地位も確立。近年ではインバウンド向けの和食体験プログラムにも組み込まれ、訪日外国人に向けた「日本らしい一品」としても提供されています。



調理法と地域差・派生メニュー

いかめしの基本調理法は、胴体が中サイズのスルメイカにもち米(またはうるち米、あるいはその混合)を七分目ほど詰め、醤油・砂糖・酒・みりん・出汁で甘辛く煮込みます。詰めすぎると加熱中に米が膨らんで破裂するため、加減が重要です。

地域差としては、以下のようなバリエーションが見られます:

  • 函館地方では、煮込まず蒸すタイプもあり、よりイカの風味が前面に出ます。
  • 東北地方では、ご飯の中に刻んだ野菜やイカゲソを混ぜ込むこともあります。
  • 山陰地方では、魚介の代わりに鶏肉を詰める「変わりいかめし」が提供されることも。

また、現代の飲食業界では以下のような派生商品も登場しています:

  • いかめし丼:いかめしをカットして丼ぶりに盛り付け、たれをかけた定食形式
  • いかめしおにぎり:イカの煮汁で炊いたご飯を具材として活用
  • バル・居酒屋用小皿:一口サイズにカットし、酒の肴として提供

このように、伝統料理でありながらもアレンジの自由度が高く、現代の飲食スタイルにも適応できる点が、いかめしの魅力といえます。



飲食業界における活用と今後の展望

いかめしは、その保存性・調理簡便性・味の安定性により、飲食業界においてさまざまなシーンで活用されています。

【活用事例】

・駅弁・物産展:日本全国で開催される駅弁大会において常連商品。ブランド力の強さが特徴。

・和食レストラン:郷土料理として、北海道フェアや定食メニューに組み込まれやすい。

・居酒屋・バル:一口サイズに切り分けて提供することで、酒の肴や前菜として提供可能。

・海外向けメニュー:和食体験プログラムの一環として、調理体験や食文化紹介に利用される。

【今後の展望】

今後はいかめしを活用したフュージョン料理(和風リゾット風、ラップサンド風)や、ヴィーガン対応バージョン(イカをこんにゃくで代用)なども考案され、より幅広い顧客層に向けて展開される可能性があります。

また、地域創生・食育・観光資源化の文脈でも、いかめしは「食のストーリーテリング」を体現する一品として再注目されています。今後も食文化の担い手として、飲食業界での役割がますます重要になることでしょう。



まとめ

いかめしは、戦中の知恵と工夫から生まれた郷土料理でありながら、現代の飲食業界においても多彩なアレンジが可能な価値ある一品です。

冷めても美味しく、保存もきき、提供形態も柔軟。そんな多面的な魅力をもついかめしは、これからの食文化・観光・地域活性のキーワードとして、今後もさらに注目を集めることが予想されます。

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