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飲食業界におけるイタリアンジェラートとは?

飲食の分野におけるイタリアンジェラート(いたりあんじぇらーと、Italian Gelato、Glace italienne artisanale)は、イタリア発祥の伝統的な冷菓であり、低温で緩やかに撹拌されながら凍らせることで、なめらかな口当たりと濃厚な風味を実現した高品質なアイスクリームの一種です。

イタリアンジェラートは、一般的なアイスクリームと比べて乳脂肪分が少なく空気含有率(オーバーラン)が低いことが大きな特徴であり、そのため、素材本来の風味を活かした密度の高い味わいが堪能できる冷菓として、世界中で親しまれています。

イタリア国内では、ジェラートは「毎日食べるデザート」として生活に密着しており、街のいたるところにある「ジェラテリア(Gelateria)」と呼ばれる専門店では、季節の果物やナッツ、チョコレート、チーズなど、多彩なフレーバーが並びます。現地では製造直後に提供される“フレッシュさ”こそが最大の魅力とされます。

近年、日本の飲食業界でもイタリアンジェラートは高級志向のデザートやテイクアウトスイーツとして注目を集めており、素材や地元産品との組み合わせによるオリジナルジェラートの開発や、観光地における体験型店舗の導入などが進んでいます。

本記事では、イタリアンジェラートの歴史や製法の特徴、日本の飲食業界における応用例、そして今後の展望について詳しくご紹介いたします。



イタリアンジェラートの歴史と語源

イタリアンジェラートのルーツは古代ローマにまで遡り、山から運ばれた氷に果汁や蜂蜜をかけて楽しむ氷菓が原型とされています。現在のジェラートの形が確立されたのは16?17世紀のルネサンス期、メディチ家が庇護していた料理人ベルナルド・ブオンタレンティによって考案されたと言われています。

「Gelato(ジェラート)」という言葉はイタリア語で「凍った」「冷やした」を意味し、これはラテン語の「gelatus」が語源です。ジェラートはその後、イタリア各地で独自に進化し、フルーツ系、ミルク系、ナッツ系、アルコール系など豊かなバリエーションを持つようになりました。

20世紀に入ってからは冷凍技術の発展とともに機械化が進み、現在では“ジェラートマシン”を使用した店内製造が一般的となっています。

イタリアでは、UNITEIS(イタリアンジェラート職人連合)などの団体により、伝統製法の継承や品質管理が行われており、工業製品のアイスクリームとは一線を画す“手作り文化”が今も息づいています。



イタリアンジェラートの製法と特徴

イタリアンジェラートは、以下のような製法と品質特性を持っています:

  • 乳脂肪分が低い:4?8%が一般的(アイスクリームは10?15%)
  • 空気含有量が少ない:オーバーラン25?35%程度(アイスクリームは最大100%)
  • 提供温度が高め:?10℃前後で提供するため、口溶けが非常に良い
  • フレッシュな素材使用:人工香料を使わず、果物やナッツの本来の風味を活かす

また、製造過程には「パスチャリゼーション(低温殺菌)」→「熟成」→「フリージング」→「ショーケース陳列」という工程があり、この流れを迅速かつ衛生的に行うことが、滑らかな食感と安全性を両立させる鍵となります。

さらに、ジェラートは冷凍保存に適していないため、多くのジェラテリアでは「その日に売り切る」ことを前提とした製造を行っており、日々変わるフレーバーラインナップも魅力のひとつです。



日本の飲食業界におけるジェラートの活用と展望

日本におけるイタリアンジェラートは、1990年代から徐々に注目され、2000年代以降はナチュラル志向や地方活性化の文脈で急速に広まりました。

その活用方法には以下のようなものがあります:

  • ①地産素材のブランディング:牧場ミルク、地元果実、日本茶などを使ったオリジナルフレーバー
  • ②飲食店でのデザート提供:イタリアンレストランやカフェでのコースデザートとして
  • ③観光地・物産展でのテイクアウト販売:ご当地スイーツとしての人気が高い
  • ④体験型コンテンツ:ジェラート作り体験イベントやワークショップの開催

また、ビーガン・アレルゲンフリー・低糖質といった食の多様化ニーズにも柔軟に対応できる点から、ジェラートは次世代スイーツとしても注目されています。

今後はIoTを活用した冷凍流通の改善や、グローバルなレシピ交流などにより、“本場の味”を世界中で再現する試みも進んでいくと予想されます。



まとめ

イタリアンジェラートは、イタリアの豊かな食文化の象徴であり、素材の風味・製法の繊細さ・食の体験価値を融合した“芸術的な冷菓”です。

日本の飲食業界においても、その技術と哲学を理解し、ローカル素材との融合やストーリー性を重視した展開を図ることで、ジェラートの可能性はさらに広がっていくことでしょう。

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