【クッキングステーションとは？】ビジプリ飲食・飲食用語辞典

飲食業界におけるクッキングステーションとは？

飲食の分野におけるクッキングステーション（くっきんぐすてーしょん、Cooking Station、Poste de Cuisine）は、厨房やバイキング形式の店舗において、特定の調理作業を行うために設置された独立した調理スペースや設備を指します。

クッキングステーションは、効率的なオペレーションを実現するだけでなく、ライブクッキングによるエンターテインメント性を高める役割も担っています。近年では、オープンキッチン型レストランやホテルのビュッフェなど、多様な場面で導入が進んでいます。

本記事では、クッキングステーションの歴史、言葉の由来、そして飲食業界における最新の使われ方について、詳しく解説いたします。

クッキングステーションという概念は、古くはヨーロッパのレストラン文化に起源を持ちます。特にフランス料理界において、厨房を明確な役割分担で分ける「ブリゲードシステム（Brigade de Cuisine）」が19世紀末に確立されました。

このブリゲード方式では、スープ担当、肉担当、ソース担当といった形でポジションが明確化され、それぞれが専門性を持つ独立した作業スペースを構えるスタイルが取られていました。これが現代のクッキングステーションの原型となっています。

20世紀後半には、ホテルビュッフェや大型レストランにおいて、ライブクッキング（目の前で料理を仕上げる演出）が人気を集めるようになり、より視覚的にも機能的にも工夫されたクッキングステーションが発展しました。

現在では、厨房の内部だけでなく、客席と一体化した「ライブキッチン」や、「フードコート」型店舗でもクッキングステーションが広く利用されるようになっています。

「クッキング（Cooking）」は英語で「料理をする」という意味を持ち、「ステーション（Station）」は「拠点」や「場所」を指します。つまり、クッキングステーションとは「料理を行うための専門的な拠点」を意味しています。

飲食業界においてクッキングステーションが指す範囲は幅広く、以下のように分類されることが一般的です。

厨房内の作業エリア グリルステーション、フライステーション、サラダステーションなど、用途別に区切られた作業台や調理設備。
フロア設置型のライブクッキングステーション パスタを目の前で仕上げるパスタステーション、ローストビーフをカッティングするステーションなど、演出性を持った調理台。
移動式ステーション イベントやパーティー向けに設置される可動式の調理ブース。

これらはいずれも、作業の効率化と、顧客体験の向上を両立する目的で設計されています。

現代の飲食業界では、クッキングステーションは多様な形で活用されています。その具体例をご紹介します。

ホテルのビュッフェレストラン エッグステーションでオムレツを好みの具材で作る、ヌードルステーションでその場で麺を茹でる、などライブ感ある演出が人気です。
ファミリーレストランやカフェ パスタ、ピザ、グリル料理などを専門に仕上げるオープンキッチンのクッキングステーションが、調理のライブ感を演出しています。
イベント・ケータリング 可動式ステーションを用いて、屋外イベントやパーティー会場で本格的な料理パフォーマンスが行われます。
フードコート・モール内店舗 それぞれの店舗が独立したクッキングステーション形式で運営されるケースも増えています。

このように、単なる「調理場」という役割に留まらず、クッキングステーションはブランドイメージ向上や顧客体験の差別化を図る重要な要素となっています。

今後の展望としては、AIやロボット技術の進展により、スマートクッキングステーションが登場することが期待されています。温度管理、オーダー管理、調理工程の自動化などが進み、さらに効率的かつ魅力的な食体験が提供される時代が到来しつつあります。

クッキングステーションは、料理を効率的に、かつ魅力的に提供するために欠かせない調理拠点のことを指します。

飲食業界では厨房内の機能分担だけでなく、顧客へのライブ感あるサービス提供のためにも広く活用されています。今後も、技術革新と顧客体験の向上を背景に、クッキングステーションのあり方はさらに進化していくでしょう。