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ホテル業界におけるAMENITY BAR(アメニティ設置バー)とは?

ホテル業界の分野におけるAMENITY BAR(アメニティ設置バー)(あめにてぃーばー、Amenity Bar、Bar des Commodites)は、宿泊客が自由に利用できるバスアメニティや化粧品、トラベル用品などを一箇所にまとめて設置したコーナーやカウンターを指します。客室内に個別に備え付けるのではなく、共用スペースやフロアごとにまとめることで、運営コストを抑えつつ多様なニーズに対応できる仕組みです。近年では、エコフレンドリーな使い捨て容器の排除や高品質ブランドの採用など、多彩な運用方法が広がっています。



AMENITY BARの起源と普及背景

AMENITY BARの概念は、1980年代後半から1990年代初頭にかけて、欧米の中価格帯から高級ホテルで始まりました。それまでは客室ごとにアメニティセットを備えるのが一般的でしたが、運営コストの上昇や頻繁な補充作業の負担増大に伴い、共用スペースで必要なものを自由に持ち帰ってもらう方式が試みられたことが発端です。当初はバスソルトや石鹸、シャンプーなどのバスアメニティに限定されていましたが、ゲストからの好評を受け、次第に化粧水やヘアケア用品、歯ブラシ、カミソリなど多様なアイテムを揃えるようになりました。

日本では2000年代に入り、ビジネスホテルやリゾートホテルを中心に導入が進みました。特に客室稼働率が高まると同時に、運営効率化が求められるようになり、AMENITY BARはスタッフの補充作業を軽減しつつ、高品質なアメニティを提供できる手段として注目されました。さらにインバウンド需要の高まりから、多言語表記を施した案内や外国人向けブランドの展開も進んでいます。



AMENITY BARの特徴と設置運用方法

AMENITY BARの設置場所としては、フロア共用の廊下スペース、ロビー近くのコーナー、宿泊者専用ラウンジなどが一般的です。設置高さや照明を工夫し、ゲストが手に取りやすい陳列方法を採用します。アメニティアイテムは、バスアメニティ(シャンプー、コンディショナー、ボディソープ、石鹸)だけでなく、スキンケア用品(化粧水、美容液、乳液)、歯ブラシセット、ヘアブラシ、コットン、綿棒、カミソリ、シェービングフォーム、ヘアゴム、使い捨てスリッパなど、多岐にわたります。

運営面では、在庫管理システムとの連携や定期的な補充計画が欠かせません。たとえば、センサーによる残量把握システムを導入し、一定個数を下回ると自動発注が行われる仕組みを整備しているホテルもあります。また、ゲストのニーズを分析し、季節ごとにラインアップを変更したり、地域限定ブランドを取り入れるなど、パーソナライゼーションを図る取り組みが広がっています。

設置にあたっては衛生管理も重要です。開放型の陳列では埃がたまりやすいため、定期的な清掃やアイテム補充時に手袋を着用するなど、細やかな衛生対策を徹底します。さらに、エコ志向を反映し、使い捨て容器から詰め替え式ディスペンサーを採用する動きもあり、プラスチックごみ削減を図るホテルが増えています。



AMENITY BAR導入の効果と今後の展望

AMENITY BARを導入する最大のメリットは、運営コストの削減とゲスト満足度の向上です。客室ごとに個別パッケージされたアメニティを用意する場合、使用量にムラが生じやすく、補充作業が煩雑になります。一方でAMENITY BARでは、必要なものを必要な分だけ選べるため在庫ロスが減り、効率的な在庫管理が可能です。さらに、ゲストは自分好みのアイテムを選べる楽しみがあり、SNS映えするディスプレイを用意することで口コミ拡散効果も期待できます。

デメリットとしては、ゲストが必要なアメニティを取り忘れるリスクや、共用スペースであるがゆえにアイテムの紛失や不正利用が発生する可能性が挙げられます。そのため、一部アイテムについてはフロントでの管理や係員による巡回チェックを行い、セキュリティと利便性のバランスを保つ工夫が必要です。

今後は、デジタル技術との連携がさらなる進化を促すでしょう。たとえば、QRコードを配置してゲストがアメニティ一覧をスマートフォンで確認できる仕組みや、アプリ連携による事前オーダー機能などが導入されつつあります。また、地域特産品やオーガニックブランドを取り入れたAMENITY BARは、エコツーリズムやローカル体験を提供する一環として注目されるでしょう。

さらに、サステナビリティの観点からは廃棄物削減やリユース可能な容器の採用が進むと予測されます。特に、詰め替え用ボトルやリフィルステーションを設置し、ゲストが自分のボトルを持参して補充できるスタイルは、今後の標準的な取り組みとなる可能性があります。



まとめ

AMENITY BAR(アメニティ設置バー)は、ホテル運営における効率化とゲスト満足度向上を両立する仕組みです。共用スペースに多彩なアメニティを配置し、ゲストが自由に持ち帰ることで在庫ロスを抑制します。導入にあたっては衛生管理やセキュリティ面での配慮が欠かせませんが、デジタル連携やエコフレンドリーな運用を取り入れることで、今後も進化を続けることでしょう。

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