【アジア・コンベンション・ビューロー協会（AACVB）とは？】ビジプリホテル業界用語辞典

アジア・コンベンション・ビューロー協会（AACVB）の歴史と発展

アジア・コンベンション・ビューロー協会は、2000年代初頭に設立されたとされ、アジア各地で独自に活動していたコンベンションビューローを統合し、MICE市場の拡大を図ることを目的として誕生しました。設立当初は香港やシンガポールを拠点とし、アジア太平洋地域における会議開催に関するノウハウを共有するためのプラットフォームとして機能しました。

2010年代に入ると、アジア地域では国際会議の誘致競争が激化しました。これを受けてAACVBは、各国観光局や都市コンベンションビューローと連携し、合同プロモーションや共同セミナーの開催を積極的に展開。これによりアジア太平洋地域全体のMICE需要が増加し、ホテル業界にとっては宿泊需要の安定化と高付加価値客層の獲得に寄与しました。

近年では、各種デジタルプラットフォームの導入が進み、オンライン会議やハイブリッドイベントの支援も行っています。これにより、従来の対面型会議に加え、遠隔地からも参加できる新たな会議フォーマットを提供し、AACVB加盟都市とホテルの集客機会を拡大しています。

言葉の由来と使命

「アジア・コンベンション・ビューロー協会」という名称は、アジア太平洋地域におけるコンベンションビューロー同士が協力し、共通の目標を掲げることを示しています。英語表記の「Asia Convention Bureau Association」や仏語表記の「Association des Bureaux de Convention d’Asie」も同様に、アジア各地の観光局や都市コンベンションビューローが一堂に会し、国際会議を誘致する使命を共有する意味合いを持ちます。

AACVBの主要な使命は、アジア地域におけるMICEビジネスの発展と、ホテル業界の競争力強化です。具体的には、加盟都市間で情報を交換し、国際会議や展示会の誘致戦略を協議します。また、地域特性を活かした会議プログラムや視察ツアーを企画し、各都市やホテルが独自性をアピールできるようにサポートします。さらに、MICE市場の動向調査や統計データの収集・分析を行い、加盟メンバーに対して最新情報を提供します。

現在の活動内容とホテル業界における役割

AACVBは加盟している各国・各都市のコンベンションビューローを通じて、年間を通じた国際会議や展示会のマッチングイベントを開催しています。こうしたイベントでは、ホテル関係者やイベントプランナーが一堂に会し、具体的な案件情報の共有や商談が行われます。その結果、ホテル側は国際会議の開催日程や参加者数を事前に把握し、宿泊プランや付帯サービスの最適化を図ることができます。

また、AACVBは研修プログラムの提供にも力を入れており、コンベンションビューロー担当者やホテルマネージャーを対象としたワークショップを定期的に実施しています。これにより、最新の会議運営ノウハウや地域観光資源を活用したプロモーション手法を学び、ホテル業務の付加価値創出につなげています。さらに、地域間のベストプラクティスを共有することで、各ホテルが提供する会議施設やサービス品質の向上を促進します。

近年はデジタル化が進展し、AACVBはオンラインプラットフォームを活用した情報共有やバーチャル商談会を開催しています。これにより物理的な距離に関係なく、アジア太平洋地域全体のホテルと国際イベント主催者をつなぐ役割を果たしています。特にパンデミックの影響によりオンライン会議が急増したことで、AACVBはハイブリッドイベントの企画・運営支援を強化し、ホテル業界の新たな収益源確保をサポートしています。

まとめ

アジア・コンベンション・ビューロー協会（AACVB）は、アジア太平洋地域のコンベンションビューローを統合し、MICEビジネスを通じてホテル業界の発展を支援する重要な組織です。設立以来、加盟メンバーの連携と情報共有を通じて国際会議誘致を促進し、ホテルに対して安定した宿泊需要と高付加価値客層の獲得機会を提供してきました。現在もデジタル化やハイブリッドイベント対応を通じて、地域間の連携を深化させ、ホテル業界の競争力向上に寄与し続けています。