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ホテル業界におけるアジョイニング・ルームとは?

ホテル業界の分野におけるアジョイニング・ルーム(あじょいにんぐ・るーむ、Adjoining Room、Chambre communicante)とは、隣接する二つ以上の客室が内部のドア(コネクティングドア)でつながっており、移動が自由にできる構造の客室タイプを指します。ファミリーやグループ利用に最適で、プライベートな時間を保ちながら同室のような感覚で過ごせるのが特徴です。通常、各客室は独立した鍵がかかり、安全性とプライバシーを確保しつつ、必要時には容易に行き来できる設計となっています。



アジョイニング・ルームの成り立ちと歴史

「アジョイニング・ルーム」という用語は、英語の「adjoining」(隣接する)に由来します。欧米の家庭で使用されていたコネクティングドア付きの部屋を宿泊施設に応用したもので、1970年代以降、家族旅行や団体客のニーズに応えるためにホテル業界で普及し始めました。当初は主にリゾートホテルやシティホテルの上位カテゴリーで提供されていましたが、近年ではビジネスホテルや都市型ホテルでも導入されるようになり、選択肢が広がっています。

過去には、海外旅行が高級志向であった時代には、グループや家族単位で広い空間を確保する手段として重宝されました。日本でもバブル期には高級ホテルを中心にアジョイニング・ルームが導入され、外国人観光客や富裕層に人気を博しました。その後、インバウンド需要やファミリー層の増加に伴い、リーズナブルな宿泊施設へも拡大し、体系化された客室タイプとして定着しました。



アジョイニング・ルームの構造と特徴

アジョイニング・ルームは、複数の客室がコネクティングドアで内部的に結ばれている構造が最大の特徴です。このドアは通常、内側から鍵をかけることができるため、家族やグループでプライベート空間を共有しつつ、独立した扉として機能します。外部からは個々の客室として見えるため、セキュリティやプライバシーが保たれます。

例えば、4名家族が利用する場合、ツインルームを二つ連結し、子供用スペースと親用スペースを分けることが可能です。これにより、子供が夜更かししても親の睡眠を妨げず、親のプライベートな時間も確保できます。また、友人同士のグループ旅行やビジネス客のチーム利用でも、それぞれのプライバシーを保ちつつコミュニケーションが取りやすいメリットがあります。

近年では、部屋の設備も向上し、各客室に独立したバスルームやトイレ、デスク、テレビなどが完備され、快適さが増しています。また、バリアフリー対応のアジョイニング・ルームも登場し、高齢者や障がい者を伴う家族旅行でも利用しやすい設計となっています。



アジョイニング・ルームの活用シーンとメリット・デメリット

アジョイニング・ルームは主にファミリー層やグループ旅行客向けに提供されることが多く、利用シーンは多岐にわたります。ファミリーでは、小さなお子様連れでお互いの安心感が得られるほか、就寝時の安全管理が容易になります。グループ旅行では、複数の友人や同僚がプライベートな時間を持ちながらも一体感を感じられる空間を提供します。

ビジネス利用では、同じプロジェクトチームが隣接客室を確保し、ミーティングスペースを設けることで作業効率が向上します。セキュリティ面でも、チームメンバーが互いにコミュニケーションを取りながら行動できるため、安心して出張を遂行できます。

ただし、デメリットも存在します。例えば、隣接する客室の音漏れが気になる場合や、利用人数が少ない場合には無駄なスペースになってしまうことがあります。また、コネクティングドアの開閉時に音がするため、静かな環境を求める利用者には適さない場合があります。加えて、ホテル側は管理が複雑になるため、在庫管理や料金設定を慎重に行う必要があります。



まとめ

アジョイニング・ルームとは、隣接する客室が内部のコネクティングドアでつながっているタイプの客室であり、家族旅行、グループ旅行、ビジネス出張など多彩なシーンで活用されます。1970年代以降、欧米から普及した概念が日本のホテル業界でも定着し、プライバシーと連携性を両立させる優れた宿泊プランとして支持されています。

メリットとしては、家族や仲間同士が近い距離で安心して過ごせること、ビジネスチームがスムーズに連携できることなどが挙げられます。一方で、音漏れや無駄なスペースの問題を考慮し、利用計画を適切に立てる必要があります。アジョイニング・ルームは、宿泊ニーズに応じて柔軟に対応できる客室タイプとして、今後も多くのホテルで提供され続けるでしょう。

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