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販促・マーケティングの分野におけるザイアンスの法則とは?

ザイアンスの法則とは?(ざいあんすのほうそく、Zajonc's Law、Loi de Zajonc)

「ザイアンスの法則」とは、接触頻度が高いほどその対象に対する好感度が上がるという心理学の理論です。アメリカの心理学者ロバート・ザイアンス(Robert Zajonc)が1968年に提唱したこの法則は、マーケティングや広告戦略に応用され、特にブランド認知度や消費者の購買意欲向上に大きく貢献しています。繰り返し目にすることで、消費者は無意識にそのブランドや商品に対して好感を持つようになるとされています。


ザイアンスの法則の歴史と由来

ザイアンスの法則は、1968年に心理学者ロバート・ザイアンスによる研究から生まれました。彼の研究では、被験者に無意味な図形や顔、単語を繰り返し見せる実験を行い、その結果、頻繁に接触した対象ほど被験者は好意的な感情を抱くことが確認されました。この現象は「単純接触効果(Mere Exposure Effect)」とも呼ばれ、特に理由がなくても繰り返し接触することで対象に対する親近感や好感が高まることがわかりました。

この理論は、マーケティングや広告分野においてもすぐに注目されました。消費者がブランドや商品に繰り返し接触することで、そのブランドに対する信頼感や親しみが形成され、最終的には購買行動に結びつくという考え方です。1970年代から1980年代にかけて、テレビやラジオ広告が盛んに行われた時期には、繰り返しの広告表示によって消費者にブランドを認知させ、好感度を高めるための戦略として広く用いられました。

ザイアンスの法則の目的と役割

ザイアンスの法則の主な目的は、消費者にブランドや商品を繰り返し認識させることで、その対象に対する好意を高め、最終的には購買意欲を喚起することです。人間は未知のものよりも、既知のものに対して安心感や信頼感を抱きやすいため、広告やマーケティングにおいて繰り返し露出させることは非常に効果的です。

具体的には、ザイアンスの法則は次のような状況で役立ちます。新しいブランドや製品を市場に投入する際、消費者がそれに親しみを感じるまで繰り返し広告やプロモーションを行うことで、ブランド認知度を高めます。また、消費者にとって選択肢が多い市場では、頻繁に接触するブランドのほうが消費者に好まれる傾向があり、購買決定において優位に立つことができます。

現在のザイアンスの法則の使用方法

現代のマーケティングでは、ザイアンスの法則はさまざまな形で活用されています。まず、デジタル広告におけるリターゲティング(再ターゲティング)がその一例です。ユーザーが一度訪れたウェブサイトや商品に関連する広告を、他のウェブサイトやSNSで繰り返し表示することで、その商品に対する親近感を高め、最終的な購入を促す手法です。これにより、消費者は無意識のうちにブランドに好感を持つようになり、購買行動が発生しやすくなります。

また、SNSの活用もザイアンスの法則を実現する重要なツールです。ブランドは定期的に投稿を行い、フォロワーとの接触頻度を増やすことで、自然な形で好意を獲得します。これにより、フォロワーがブランドに親しみを持ち、投稿に対するエンゲージメントが高まりやすくなります。

さらに、オフラインの広告戦略にもザイアンスの法則が活用されています。例えば、看板広告やテレビCM、交通広告など、日常的に目にするメディアを通じてブランドを繰り返し露出させることで、消費者の記憶に残りやすくなり、選択肢の一つとして認識されるようになります。特に、消費者が無意識に認識する「サブリミナル効果」を狙った戦略として、この法則は強力なツールとなります。

ザイアンスの法則における注意点

ザイアンスの法則を効果的に活用するためには、適切なバランスを保つことが重要です。過度な露出は逆効果となり、消費者に「うんざり感」を与える可能性があります。これを避けるためには、広告やコンテンツの頻度を適度に調整し、タイミングや場所を工夫することが求められます。また、単に繰り返し露出させるだけでなく、クリエイティブなコンテンツや魅力的なメッセージを通じて、消費者の興味を引くことも大切です。

さらに、現代の消費者は情報過多の中で生活しているため、ブランドや広告の繰り返し接触が埋もれてしまうリスクもあります。そのため、消費者が注意を向けやすい媒体やチャネルを選び、適切に接触回数をコントロールすることが成功の鍵となります。

まとめ

販促・マーケティングにおけるザイアンスの法則は、接触頻度を高めることで消費者に好感を持たせ、最終的に購買行動を促す心理学的理論です。1960年代に提唱されて以来、広告やブランド戦略に広く応用され、現代のデジタルマーケティングやリターゲティング戦略においても重要な役割を果たしています。繰り返しの接触を適切に活用し、消費者との信頼関係を築くことで、ブランドの成功に大きく貢献することができます。


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