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印刷業界における色見本帳とは?

印刷業界における「色見本帳」(ふりがな:いろみほんちょう、英:Color Swatch Book、仏:Nuancier)は、印刷に使用される色の見本を一覧できる冊子やカタログのことです。色見本帳は、印刷時に再現される色を確認するための基準として使用され、特にブランドカラーやデザインの正確な色合いを指定する際に重要な役割を果たします。色見本帳は、色を選定するための参考資料として、デザイナーや印刷業者が活用します。


色見本帳の概要

色見本帳は、印刷物のカラーマッチングや色指定のために、各色の印刷見本が一覧になった帳票です。印刷では、インクや紙質、印刷機によって微妙な色の差が生じるため、色見本帳に示された色を基準にして、指定通りの色が印刷されるよう管理されます。特に、ブランドカラーの再現が重要な広告やパッケージ印刷では、色見本帳をもとに色の確認や調整を行います。

色見本帳には、さまざまなインクの組み合わせや濃度、紙質の違いなどが記載されており、印刷結果における色の再現性を視覚的に確認できます。業界で広く使用されている色見本帳としては、Pantone(パントン)やDIC(ディック)などがあり、これらは国際的なカラースタンダードとしても知られています。

色見本帳の歴史と背景

色見本帳の起源は、印刷技術が進化し、商業印刷が一般化した19世紀後半にさかのぼります。当時、色を正確に再現することが難しく、色の見え方が異なる印刷物が発生しやすかったため、印刷における標準色を示す手引きとして色見本帳が求められました。20世紀に入ると、商業広告の需要が高まり、広告業界やデザイン業界で一貫した色指定が求められるようになりました。

その後、1960年代にアメリカのPantone社が色見本帳のスタンダード「Pantone Matching System(PMS)」を開発し、国際標準として普及しました。これにより、異なる場所で印刷しても同じ色が再現できるようになり、デザイン業界や印刷業界でのカラーマッチングが容易になりました。また、日本ではDICやTOYO INKなど、国内の色基準が開発され、現在でも印刷業界で広く利用されています。

色見本帳の技術的な側面と注意点

色見本帳を使用する際には、印刷機や紙の種類、インクの種類が色の再現性に影響するため、それぞれに対応した色見本帳を使用することが重要です。たとえば、コート紙とマット紙ではインクの吸収率が異なり、同じインクでも発色が変わるため、それぞれの紙に適した色見本帳を使うことで、正確なカラーマッチングが可能になります。

また、印刷物のカラーマネジメントを行う際には、色見本帳に基づいて色校正を行うことが一般的です。デザイナーは、画面上で見た色と印刷結果の色が一致するよう、色見本帳を参照して色を決定します。さらに、特にPantoneのようなスポットカラーの場合は、CMYKカラーとは異なる専用のインクを使用するため、CMYK印刷での再現が難しい鮮やかな色や特色を表現することができます。

色見本帳を使ったカラーマッチングには、作業環境の照明やモニタのキャリブレーションも影響します。印刷現場では、標準的な5000Kの照明の下で色を確認することが推奨されており、環境光の違いで色の見え方が変わらないよう、一定の照明環境が整備されています。

現在の色見本帳の使い方と応用例

現在、色見本帳はブランドデザイン、パッケージデザイン、広告物の印刷など、色の正確な再現が重要な分野で広く使用されています。たとえば、ブランドのコーポレートカラーを守るために、色見本帳を使用して厳密な色指定が行われます。特に、化粧品やファッションブランドなど、製品イメージが色によって左右される業界では、色見本帳をもとにした色管理が欠かせません。

また、デジタル印刷とオフセット印刷が混在する現代の印刷業界では、異なる印刷方法間での色の統一を図るため、色見本帳が基準として使用されています。これにより、異なる印刷方式でも一貫した色の再現が可能となり、デザインの品質が保たれます。さらに、ウェブと印刷物で同じ色を使用する場合にも、色見本帳をもとに色設定を行うことで、デジタルと印刷の両方で一貫したブランドカラーが提供されます。

まとめ

色見本帳は、印刷業界において一貫した色再現を実現するための重要な基準です。デザイナーや印刷業者が使用することで、品質の高い印刷物が提供され、カラーマッチングの精度が向上します。今後も、色見本帳は印刷業界での標準的な色管理ツールとして、デザインやブランドの一貫性を支える役割を果たしていくでしょう。

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