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印刷乾燥とは?

印刷業界における「印刷乾燥」(ふりがな:いんさつかんそう、英:Printing Drying、仏:Séchage d'Impression)とは、印刷工程で用紙に転写されたインクを適切に乾燥させ、にじみやこすれを防ぎ、鮮明な印刷結果を得るための工程を指します。インクの種類や印刷速度、用紙の特性に応じて乾燥方法を選び、最適な乾燥環境を整えることが品質の安定に重要です。


印刷乾燥の概要

印刷乾燥は、インクが印刷物にしっかりと定着するために不可欠な工程です。印刷直後のインクはまだ湿っているため、乾燥工程を経て初めて鮮明な仕上がりと耐久性が得られます。乾燥が不十分だと、印刷面に触れた際にインクがこすれてしまったり、他の用紙にインクが転写される「セットオフ」が発生することがあります。

印刷乾燥には、自然乾燥、熱乾燥、UV乾燥、IR(赤外線)乾燥などのさまざまな方法があります。自然乾燥は、時間をかけてインクを乾燥させる方法で、主に油性インクの印刷で用いられます。熱乾燥は、温風を当ててインクの乾燥を促進する方法で、高速印刷に適しています。また、UV乾燥は紫外線を使用して瞬時にインクを硬化させる方法で、UVインクと組み合わせることで瞬時に乾燥が完了します。

印刷乾燥の歴史と由来

印刷乾燥の概念は、印刷技術の発展とともに生まれました。初期の活版印刷では、印刷後に自然乾燥を行い、数時間から数日間かけてインクが完全に乾くのを待っていました。しかし、近代印刷の発展とともに大量印刷の需要が高まり、乾燥時間の短縮が求められるようになりました。

20世紀に入ると、乾燥を早めるために熱乾燥が導入され、さらに印刷スピードが向上しました。1970年代にはUVインクとUV乾燥装置が登場し、瞬時に硬化できる技術が発展しました。現在では、用途やインクの種類、印刷の目的に応じてさまざまな乾燥方法が採用され、効率的な乾燥が可能になっています。

印刷乾燥の用途と使用上の注意点

印刷乾燥は、新聞、雑誌、ポスター、パッケージ印刷など幅広い用途で使用されます。大量印刷が行われる新聞や雑誌では、スピードと効率が求められるため、熱乾燥やIR乾燥がよく使用されます。ポスターやパッケージなどの印刷では、UV乾燥による高品質な仕上がりが期待される場合が多く、耐久性や色の鮮やかさが必要な印刷物に適しています。

ただし、乾燥方法の選定には注意が必要です。たとえば、熱乾燥を使う場合は用紙の特性や温度設定に留意する必要があり、温度が高すぎると紙が変形する恐れがあります。また、UV乾燥を使用する場合、UVインクと乾燥装置の相性が重要で、適切な装置を使用しないとインクが硬化しないことがあります。さらに、乾燥工程においてエネルギー消費も考慮する必要があり、エコな乾燥技術が求められています。

現代における印刷乾燥の重要性と応用

現代の印刷業界では、印刷スピードが高速化しているため、迅速で効率的な乾燥技術が不可欠です。特に短納期が求められる商業印刷やオンデマンド印刷では、乾燥工程の効率化が品質維持と生産性向上のために重要です。最新の印刷機には、乾燥プロセスが自動化され、印刷速度に合わせて最適な乾燥が行える機能が備わっているものもあります。

さらに、環境負荷を軽減するために、エネルギー効率の良い乾燥装置や低温での乾燥技術も普及しつつあります。また、近年では水性インクやソイインクなどの環境に優しいインクが増えており、これに対応した乾燥技術も進化しています。乾燥技術の進展は、印刷業界における持続可能な生産にも貢献しています。

まとめ

印刷乾燥は、印刷物の品質を保ち、効率的な生産を実現するための重要な工程です。歴史的に自然乾燥から始まり、熱乾燥やUV乾燥といった技術の発展によって、現代の印刷スピードに対応した乾燥が可能になりました。現在もさまざまな乾燥方法が採用されており、印刷物の特性に応じた最適な乾燥方法が求められています。印刷乾燥の技術進化は、今後も印刷業界の品質向上と持続可能な生産に寄与することでしょう。

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