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アンダープリントとは?

印刷業界におけるアンダープリント(あんだーぷりんと、Underprint / Impression de Fond)とは、印刷物の仕上がりをより鮮明で美しく見せるため、主要なデザインやテキストの下に下地として別の色を印刷する技法です。アンダープリントは、インクが素材にしっかりと定着することを助けたり、色の鮮やかさやコントラストを高めるために使われます。特に、濃色の用紙や透明フィルムへの印刷で色をしっかりと表現したい場合に用いられる技術です。


アンダープリントの歴史と起源

アンダープリントの起源は、初期の印刷技術において、紙や布に鮮明な色を出すための工夫として登場しました。伝統的なオフセット印刷では、紙自体の色や表面の質感が印刷結果に影響を与えるため、色を鮮明に発色させるための技術が求められていました。特に濃色や特殊紙においては、色が沈んで見えやすいため、下地に白インクを印刷することで、インクがしっかりと発色するように工夫が施されました。

20世紀半ばからは、商品パッケージや広告印刷の分野で色鮮やかなデザインが重視され、アンダープリント技術が一層発展しました。やがて、デジタル印刷技術の進化とともに、透明フィルムやメタリック紙など多様な素材への印刷が可能になる中で、アンダープリントは重要な役割を果たす技術としてさらに普及していきました。

アンダープリントの目的と効果

アンダープリントの主な目的は、印刷物の発色を鮮やかにし、コントラストを向上させることです。特に、濃色や透明の素材上では、アンダープリントにより下地を整えることで色が鮮やかに見え、デザイン全体が引き立ちます。また、文字や細部の図形などの視認性を高める効果もあり、細部まで美しく再現するために用いられます。

アンダープリントの主な効果は以下の通りです。

1. 発色の向上: 濃色や透明素材への印刷では、色が沈んで見えたり、下地の色が透けてしまうことがあります。アンダープリントを施すことで、印刷した色がくっきりと鮮明に表現されます。

2. コントラストの強調: 下地に白インクや薄い色を印刷することで、上に重ねた色とのコントラストが強調され、デザインがより目立ちやすくなります。特に、広告物やパッケージデザインで効果的です。

3. 細部の表現力向上: 文字や細かい模様がくっきりと見えるようになり、視認性が向上します。これにより、印刷物全体のデザインが洗練され、高級感も演出できます。

現代におけるアンダープリントの活用方法

現在、アンダープリントは広告やパッケージの印刷に幅広く利用されています。特に、透明なフィルム素材やガラスなどに印刷を施す際に、アンダープリントで白インクを下地に使用し、その上にデザインを印刷することで、色を鮮やかに見せることが一般的です。例えば、透明なボトルラベルや窓広告などで、発色を良くし、かつ視覚的なインパクトを与えるために使用されています。

また、デジタル印刷機の進化により、短納期でもアンダープリントの対応が可能となり、小ロットでの印刷にも対応できるようになっています。これにより、少量生産でも高品質なデザインを求める顧客ニーズに応えることができ、ブランドイメージの向上にも貢献しています。

アンダープリントの今後と課題

今後もアンダープリント技術は、より多様な素材やインクに対応するために進化が続くと考えられます。特に、環境に配慮したインクや、リサイクル素材への対応が求められる中で、低環境負荷のインクや耐久性のある下地印刷技術の開発が進むと期待されています。また、デジタル印刷と組み合わせることで、細部の品質管理がより高度化し、特注品やプロトタイプ作成にも利用範囲が広がるでしょう。

一方で、アンダープリントにはインクの追加コストや、印刷工程が増えることで生産効率が低下する課題もあります。特に、複数のインク層を重ねるため、乾燥時間やインクの定着に慎重な管理が求められます。これらの課題を克服することで、アンダープリント技術はさらに広く利用され、印刷業界における品質向上の重要な手法としての役割を果たすことが期待されています。

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