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印刷業界におけるエロンゲートとは?

印刷業界における「エロンゲート」(ふりがな:えろんげーと、英:Elongate、仏:Allongement)とは、印刷プロセスや素材の特性によって発生する伸びや歪みを指します。特にフィルムや柔軟な基材を使用する場合に注意が必要で、印刷物の形状や寸法が設計と異なる仕上がりになることがあります。この現象は印刷品質や製品の寸法精度に影響を及ぼすため、工程管理や素材選定での対策が重要です。


エロンゲートの概要

エロンゲートは、印刷プロセス中の物理的な力や熱、湿度の変化により、基材が伸縮して意図しない形状変化が起きる現象です。これにより、印刷の位置がずれたり、デザインが歪んだりすることがあります。

  • 主な原因:印刷機のテンション(張力)変化、基材の特性、環境要因(温度や湿度)など。
  • 影響:文字や図形の歪み、デザインのズレ、パターンの不整合。
  • 発生しやすい基材:プラスチックフィルム、柔軟な紙、ラベル用素材など。

エロンゲートの歴史と由来

エロンゲートという言葉は、英語の「elongate」(伸びる、引き伸ばす)に由来します。この現象自体は、印刷技術がフィルムやプラスチックといった柔軟な基材に対応し始めた20世紀中頃から注目されるようになりました。

特にフレキソ印刷グラビア印刷などの包装材向け印刷技術が普及する中で、基材の伸縮による寸法変化が問題視されました。この時代には、基材やインキの選定、印刷工程のテンション管理が主な対策として開発されました。

現在のエロンゲートの使われ方と対策

現代では、エロンゲートの現象を最小限に抑えるための技術が進化し、以下のような対策が取られています:

  • テンション制御:印刷機のテンションコントロールシステムを用いて、基材にかかる張力を一定に保ちます。
  • 基材の選定:伸縮性の少ない基材を選ぶか、予め熱処理を施して収縮を安定させた素材を使用します。
  • 環境管理:印刷工場内の温度や湿度を適切に管理することで、基材の変形を防ぎます。
  • デジタル補正技術:エロンゲートを見越してデザインを調整するソフトウェアが利用されています。

エロンゲートの利点と課題

エロンゲート自体は制御が必要な現象ですが、その管理と活用には以下のような利点があります:

  • 柔軟なデザイン対応:フィルムや特殊な基材を用いることで、多様なデザインの印刷が可能です。
  • 高品質な印刷:適切な工程管理を行うことで、寸法精度と仕上がり品質を確保できます。

一方で、以下の課題も残ります:

  • 管理の難しさ:基材や印刷機、環境要因が絡むため、全てを最適化するには高度な技術が必要です。
  • コスト:テンション制御システムや環境管理には、設備投資が必要です。
  • 適応範囲の制限:一部の基材や印刷方式ではエロンゲートの影響を完全に排除できない場合があります。

まとめ

エロンゲートは、印刷業界で特に柔軟な基材を扱う際に発生する寸法変化の現象であり、印刷品質や仕上がりに大きな影響を及ぼします。歴史的には、20世紀中頃のフィルム印刷の普及とともに注目され、現在では高度な工程管理やデジタル技術の活用によって対応が進んでいます。正確な管理を行うことで、印刷物の品質向上と多様なデザイン表現が可能になります。

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