印刷業界におけるemとは?

印刷業界におけるemとは、文字サイズを基準にした測定単位で、特に活字やデジタルフォントのレイアウトにおいて使用されます。emは、使用されるフォントのポイントサイズに基づき、1emの長さがそのフォントサイズに等しいことを意味します。例えば、12ポイントのフォントを使用する場合、1emは12ポイントに相当します。emは、文字間隔や行間、インデントの設定など、タイポグラフィの調整において重要な役割を果たします。


emの歴史と由来

emの概念は、活版印刷が主流だった時代に遡ります。当時の活字組版では、文字の高さや幅を測定するために特定の基準が必要でした。「em」という名称は、活字の「M」字に由来します。なぜなら、「M」は通常、そのフォントの最も幅の広い文字とされ、フォントサイズ全体を基準とした測定単位として適していたからです。

emは、タイポグラフィにおける相対的な単位として使用されるようになり、特にデジタル印刷やウェブデザインの分野で重要性が増しています。この相対的な単位としての性質により、異なるフォントサイズやデバイスに対して柔軟に対応できるため、レスポンシブデザインの基本となっています。

emの使用方法と用途

印刷業界では、emは特にレイアウトやデザインの調整に使用されます。例えば、段落のインデントや文字間隔(カーニング)を調整する際に、emを基準として設定することで、フォントサイズに応じたバランスの取れたレイアウトが実現できます。1emのインデントを設定することで、どのフォントサイズでも同じ比率のインデントが適用されます。

また、デジタル印刷やウェブデザインにおいても、emは重要な役割を果たします。CSS(カスケーディングスタイルシート)では、emを使用して文字サイズやマージン、パディングを指定することができ、これによりデザインが異なるデバイスや画面サイズに対してスケーラブルになります。例えば、ウェブページの本文サイズを1emと設定すると、そのフォントサイズに基づいて他の要素のサイズも相対的に決定されます。

emの現在の使われ方

現在、emは印刷業界のみならず、デジタルデザインやウェブデザインの標準的な単位として広く使用されています。特にレスポンシブデザインのコンテキストでは、emは重要な単位として認識されています。ウェブブラウザやデザインツールは、emを基準とした設定をサポートしており、これによりユーザーは異なるデバイスでの一貫したデザインを提供することができます。

さらに、印刷業界でも、emを使用してデザインの一貫性と可読性を確保するためのガイドラインを設定することが一般的です。これにより、さまざまなサイズや形式の印刷物でも、バランスの取れた美しいレイアウトが実現されます。emの使用は、デザインの柔軟性と精度を高めるために不可欠な要素となっています。

まとめ

印刷業界におけるemは、文字サイズに基づく相対的な測定単位であり、タイポグラフィやレイアウトの調整において重要な役割を果たします。その歴史は活版印刷時代に遡り、現在ではデジタルデザインやウェブデザインにおいても広く利用されています。emを使用することで、フォントサイズに応じた柔軟でバランスの取れたデザインが可能になり、印刷物やデジタルコンテンツの品質を向上させることができます。

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