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印刷業界におけるインクジェット用インクとは?

印刷業界におけるインクジェット用インク(いんくじぇっとよういんく、Inkjet Ink / Encre pour Jet d’Encre)とは、インクジェットプリンターで使用される専用のインクを指します。このインクは、ノズルから微細な液滴として噴射されるように設計されており、速乾性や高い発色性、基材への適応性が求められます。主に水性、油性、溶剤系、UV硬化型などの種類があり、ポスターやパッケージ印刷から産業用途まで幅広く活用されています。


インクジェット用インクの歴史と由来

インクジェット技術の起源は20世紀半ばに遡ります。1950年代、アメリカの企業が電子制御によるインク噴射技術を開発し、1970年代には初の商用インクジェットプリンターが登場しました。当初のインクは水性が主流で、主にオフィス用途で使用されていました。

その後、溶剤系インクやUV硬化型インクの開発が進み、屋外広告や産業用途に適した高耐久性インクが普及しました。近年では、エコソルベントインクや環境負荷を抑えた水性顔料インクなど、持続可能性を重視した製品も増えています。


インクジェット用インクの種類と特徴

インクジェット用インクには、用途や特性に応じてさまざまな種類があります。以下は主要な種類とその特徴です:

  • 水性インク:主に染料系と顔料系があり、鮮やかな発色が特徴。オフィスプリントやポスター印刷に使用される。
  • 溶剤系インク耐水性、耐候性に優れており、屋外広告や車両グラフィックに適している。
  • 油性インク:乾燥が速く、特殊素材への印刷に適している。
  • UV硬化型インク:紫外線を当てることで瞬時に硬化し、多様な基材に対応可能。
  • エコソルベントインク:溶剤系インクの耐候性を維持しつつ、環境負荷を低減したもの。

これらのインクは、それぞれの用途や印刷物に応じて選択され、最適な印刷結果を提供します。


インクジェット用インクの印刷業界における利用例

インクジェット用インクは、以下のような分野で広く使用されています:

  • ポスターやサイン:屋外掲示用ポスターや店舗サインにおいて、鮮明で耐久性の高い印刷を実現。
  • パッケージ印刷:食品や化粧品パッケージに使用され、高解像度のグラフィックや文字を表現。
  • 布地印刷:テキスタイル製品やアパレル分野で、デジタルプリントを活用。
  • 工業用途:電子基板や部品へのマーキングに使用され、正確な印字を可能にする。

特に、少量多品種の印刷が求められる分野では、インクジェット用インクの柔軟性が重要な要素となっています。


課題と未来の展望

インクジェット用インクには以下の課題が存在します:

  • 環境負荷:溶剤系インクのVOC(揮発性有機化合物)排出が問題視されている。
  • コスト:高品質なインクはコストが高く、大量生産には不向きな場合がある。
  • 素材適応性:基材によってインクの発色や定着性が異なるため、適切な選択が必要。

これらの課題に対応するため、環境に配慮した新しいインクの開発が進んでいます。例えば、水性顔料インクの改良や、植物由来の溶剤を使用した製品などが注目されています。また、ナノ技術を活用したインクや、高速乾燥型のUV硬化インクが、印刷速度と品質の両立を実現する次世代技術として期待されています。

今後、インクジェット用インクはさらなる進化を遂げ、印刷業界における多様なニーズに対応し続けることで、デジタル印刷技術の中心的な存在であり続けるでしょう。

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