ビジプリ > 印刷用語辞典 > は行 > 【複写シート】

印刷業界における複写シートとは?

印刷業界における「複写シート」(ふりがな:ふくしゃしーと、英:Carbonless Copy Paper、仏:Papier Autocopiant)とは、手書きや筆記時に筆圧によって文字や図形を複数のシートに複製できる特殊な紙のことを指します。この紙はカーボン紙を使用しない複写技術で、複数部の伝票や契約書などを簡単に作成できるため、事務作業やビジネス文書の効率化に貢献しています。特に、筆記内容の正確な記録と効率的な複製が求められる業務で広く活用されています。


複写シートの概要

複写シートは、主に複写伝票や請求書、契約書など、同じ内容を複数部にわたって記録する必要がある書類の作成に使用されます。この紙は、以下の構造によって複写機能を実現しています:

  • CBシート(Coated Back):上層紙の裏面にマイクロカプセルが塗布され、筆圧で破れるとインクが放出されます。
  • CFシート(Coated Front):下層紙の表面に反応剤が塗布され、CBシートのインクと反応して文字や図形が記録されます。
  • CFBシート(Coated Front and Back):中間紙として使用され、両面にコーティングが施されることで連続複写が可能です。

筆圧が加わると、CBシートのマイクロカプセルが割れ、下層紙のCFコーティングと化学反応を起こして記録が行われます。この仕組みにより、カーボン紙を使用せずに複数部の複製が可能となります。

複写シートの歴史と由来

複写シートの概念は、20世紀初頭に使用されていたカーボン紙の代替技術として登場しました。従来のカーボン紙は、手作業での挿入が必要であり、紙の挟み込みミスや汚れの発生が課題とされていました。

1950年代、アメリカのNCR(National Cash Register)社がカーボンレス複写紙の技術を開発しました。この技術は、マイクロカプセルと化学反応を利用することで、従来のカーボン紙を不要とし、書きやすさや清潔性が向上しました。この新しい複写技術は、事務効率化を目指す業界から高く評価され、世界中で普及しました。

日本においても、1960年代にカーボンレス複写紙が導入され、特に商業印刷や事務用紙市場での需要が高まりました。現在では、環境に配慮した製品や特殊用途向けのカスタマイズが進んでいます。

複写シートの現在の使われ方

今日の印刷業界における複写シートの使用例は多岐にわたります。以下はその代表的な活用場面です:

  • 業務用伝票:飲食店や物流業界での注文伝票、配送伝票として使用されます。
  • 契約書:手書きの契約内容を即時に複製できるため、営業現場や建設業で利用されています。
  • イベント申込書:イベントやキャンペーンの申し込み時に、記録を複数部作成する際に活用されます。

さらに、環境配慮の観点から、リサイクル可能な複写シートや、化学薬品を抑えたエコ仕様の製品が開発され、SDGs(持続可能な開発目標)への対応も進んでいます。

複写シートの注意点

複写シートを使用する際には、以下の点に注意する必要があります:

  • 保存環境:高温多湿の環境では、マイクロカプセルが劣化しやすいため、乾燥した場所で保管することが推奨されます。
  • 筆記用具の選択:ボールペンや鉛筆など、筆圧のかかる筆記具を使用する必要があります。
  • 化学反応の経時劣化:長期間保存する場合、化学反応による複写文字が薄れる可能性があるため、重要書類には別途コピーを取ることが望ましいです。

まとめ

印刷業界における複写シートは、筆記内容を簡単かつ正確に複製するための便利な技術です。その起源はカーボン紙にあり、現在ではより効率的で清潔なカーボンレス技術へと進化しています。業務の効率化や環境配慮に寄与する複写シートは、今後も幅広い分野で活用が期待されています。

▶印刷用語辞典TOPへ戻る



↑ページの上部へ戻る

ビジプリの印刷商品

ビジプリの関連サービス