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フレキソ版とは?

印刷業界における「フレキソ版」(ふりがな:ふれきそばん、英:Flexographic Plate、仏:Plaque Flexographique)とは、フレキソ印刷に用いられる柔軟性の高い印刷版のことです。フレキソ版は、主にゴムや樹脂で作られ、パッケージ、段ボール、ラベルなどの印刷に適しています。フレキソ印刷機で使用されるフレキソ版は、速乾性のインクと組み合わせて高速印刷が可能で、特にプラスチックフィルムや段ボールといった多様な素材への印刷に対応します。


フレキソ版の概要

「フレキソ版」とは、フレキソ印刷における特殊な印刷版で、弾力性があり、さまざまな素材に印刷するために使用されます。フレキソ印刷は、版の表面に盛り上がった部分(凸版)にインクを転写し、直接印刷する方式で、柔らかいフレキソ版の弾力性により、多様な素材への対応が可能です。フレキソ印刷は主にパッケージ印刷や食品ラベル、包装紙、段ボール印刷などで多く用いられています。

フレキソ版の特性として、速乾性インクを使用し、高速での連続印刷が可能なことが挙げられます。また、耐久性も高く、長期間にわたり同じ版を使用できるため、コスト効率にも優れています。フレキソ版は樹脂やゴムなどの素材で作られ、印刷内容に応じてデザインや文字を彫刻またはレーザーで加工して作成されます。

フレキソ版のプロセスと技術

フレキソ版の制作は、まずデジタルデザインデータを基に版の彫刻が行われます。通常、版はフォトポリマー樹脂やゴムから成り、レーザー加工や化学処理により凹凸が作られ、印刷内容が版に定着されます。フレキソ印刷の工程では、この版を印刷機のシリンダーに装着し、アニロックスローラーと呼ばれるインクを供給するローラーを通してインクを付着させます。

フレキソ版は柔軟性があるため、フィルムや金属箔などの曲面や柔らかい素材に対しても密着しやすく、ムラなくインクを転写できます。さらに、インクの速乾性により、パッケージング業界で求められる高速かつ大量の生産にも対応しています。フレキソ版は、印刷の精度を左右するため、製版時の加工精度が重要です。

フレキソ版の歴史と発展

フレキソ版の技術は、20世紀初頭のアメリカでの「アニリン印刷」と呼ばれる技術に端を発します。初期のフレキソ印刷は、主にアニリン系インクが使われていたため、この名称がつけられていました。しかし、アニリンインクは食品包装には不向きだったため、インクの改良が進められました。

1950年代以降、速乾性で無害なインクが開発され、フレキソ印刷が食品パッケージにも広く利用されるようになりました。また、樹脂版の開発により、高解像度の印刷が可能となり、より細かなデザインも再現できるようになりました。現在では、デジタル技術を活用したレーザー彫刻の導入により、さらに精密なフレキソ版の製作が可能となり、幅広い印刷物で採用されています。

現在のフレキソ版の使用例と重要性

現在、フレキソ版はパッケージング業界をはじめ、段ボール、食品包装、ラベル、フィルム印刷など、さまざまな分野で使用されています。特に食品や飲料のパッケージにおいて、環境に優しいインクとフレキソ版を組み合わせることで、サステナブルな印刷が実現されています。フレキソ印刷の柔軟性と高速印刷性により、経済的かつ効率的な印刷手段として多くの企業に採用されています。

また、フレキソ版の耐久性が高いため、同じ版で長期間の印刷が可能であり、頻繁に版を交換する必要がなく、コスト面でも優れています。さらに、フレキソ印刷は環境への配慮が進む中、水性インクやUVインクの使用が推奨されており、印刷工程における環境負荷が低減される点も評価されています。

まとめ

フレキソ版は、柔軟性と耐久性を兼ね備え、多様な素材に対応する印刷版であり、特にパッケージ業界で広く活用されています。アニリン印刷から発展したフレキソ印刷技術は、現在ではデジタル技術の導入によりさらに精密化され、多くの印刷物の品質向上に貢献しています。フレキソ版と環境に配慮したインクの組み合わせにより、今後も印刷業界での重要性が高まると予想されます。

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