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印刷業界における平滑仕上げとは?

印刷業界における「平滑仕上げ」(ふりがな:へいかつしあげ、英:Smooth Finish、仏:Finition Lisse)とは、紙や印刷物の表面を滑らかに仕上げる加工方法を指します。主に紙表面の質感を向上させ、印刷時のインク乗りを良くするために行われます。この処理は、高級感のある見た目を実現し、鮮やかな発色や細部の再現性を高める効果があります。パンフレット、ポスター、書籍の表紙など、特に高品質が求められる印刷物に広く使用されています。


平滑仕上げの概要

平滑仕上げは、紙や印刷物の表面を滑らかにする加工で、印刷品質の向上を目的としています。この仕上げは、紙表面の凹凸を整えることで、インクが均一に乗る状態を作り出します。

平滑仕上げには以下の方法が一般的です:

  • カレンダー加工:紙を高圧でローラーに通し、表面を平滑に仕上げる方法。
  • コーティング:ニスやラミネートなどの加工を施し、滑らかさと光沢を与える方法。
  • スーパーカレンダー加工:通常のカレンダー加工よりも高い圧力で、より滑らかな表面を作る方法。

これらの技術により、紙の表面に細かな凹凸がなくなり、インクがムラなく吸収されるため、印刷物の品質が向上します。

平滑仕上げの歴史と由来

平滑仕上げの技術は、紙の製造工程に深く根ざしています。古代では、羊皮紙や手すき紙の表面を磨くことで滑らかにしていました。この手法は、手作業による紙作りの一部として行われていました。

18世紀から19世紀にかけて、産業革命により機械化された紙製造が普及しました。この時期に、紙をローラーで圧縮し、平滑に仕上げる技術が導入されました。特に、カレンダー加工はこの時代に確立され、高品質な印刷に適した紙が大量生産可能になりました。

20世紀以降、化学薬品やコーティング技術の発展により、紙表面の加工方法が多様化しました。これにより、光沢紙やマット紙など、さまざまな平滑仕上げの紙が生産されるようになり、用途ごとに選択できる時代となりました。

平滑仕上げの現在の使われ方

現在、平滑仕上げは多様な印刷物に利用されています。特に高級感が求められる商品カタログ、雑誌の表紙、ポスター、パッケージデザインなどでは、平滑仕上げが必須とされています。

また、平滑仕上げはインクの色再現性を向上させるため、プロモーション用の印刷物や広告媒体にも使用されています。これにより、視覚的なインパクトを与え、ブランドイメージを強化する効果があります。

さらに、電子書籍用の紙や環境に配慮したリサイクル紙にも平滑仕上げが施されることが多く、エコロジーと品質の両立を実現しています。

平滑仕上げの利点と注意点

平滑仕上げには以下の利点があります:

  • インクの均一な乗り:表面が滑らかになることで、印刷時にムラがなくなる。
  • 鮮やかな発色:色が鮮明に表現されるため、デザインが際立つ。
  • 高級感:滑らかな質感が、製品全体の価値を向上させる。

一方で、以下の注意点も考慮する必要があります:

  • コスト:平滑仕上げには追加コストがかかる場合がある。
  • 適切な用途選択:光沢のある仕上げは反射が強く、内容が見えにくくなる場合があるため、用途に応じた選択が重要。
  • 環境への配慮:一部のコーティング方法はリサイクルが難しい場合がある。

まとめ

平滑仕上げは、印刷物の品質を高め、視覚的な魅力を引き出すための重要な技術です。その歴史は紙の製造工程とともに進化し、現在では多種多様な印刷物に欠かせない加工方法となっています。用途に応じて適切な仕上げを選択することで、印刷物の効果を最大化することが可能です。

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