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印刷業界における編集著作権とは?

印刷業界における「編集著作権」(ふりがな:へんしゅうちょさくけん、英:Editorial Copyright、仏:Droit d’Auteur Éditorial)は、複数の著作物や情報を選択・配列して新たな編集物を作成した際に、その編集者に認められる著作権を指します。この権利は、選択や構成に創作性が認められる場合に発生し、編集者が編集物全体に対して保護を受けるものです。印刷業界では、雑誌や書籍、カタログなど、多数の情報を組み合わせた作品で重要視されています。



編集著作権の概要

編集著作権は、既存の著作物や情報を基に編集者が行う選択、配列、構成に創作性が認められる場合に付与されます。これにより、編集物全体が一つの著作物として保護され、無断での複製や改変が禁止されます。

編集著作権の対象となる具体例:

  • 雑誌や書籍:記事や写真の選択とレイアウト構成が創作的である場合。
  • カタログ:商品情報や画像の順序付けや配置に独自性がある場合。
  • データベース:情報の分類や並べ方に創作性が認められる場合。
  • 学術資料:文献やデータを整理して一冊の本にまとめた場合。

編集著作権は、編集物全体に対して付与されるもので、個々の著作物には影響を及ぼしません。そのため、元の著作物については、別途著作権者の許諾が必要です。

編集著作権の歴史と由来

編集著作権の概念は、著作権法の発展とともに生まれました。19世紀末から20世紀初頭にかけて、出版業界の拡大とともに編集者の創作性が注目されるようになり、編集物全体を保護する必要性が高まりました。

日本では、1970年に施行された現行の著作権法で、編集著作権が明文化されました。この法律では、編集著作物について「その素材の選択または配列によって創作性を有するもの」と定義されています。また、1990年代以降、データベースや電子出版物の普及により、編集著作権の適用範囲が拡大しました。

印刷業界においては、カタログや雑誌の制作過程で編集著作権が特に重要となり、創作性がどのように認められるかが議論されるケースもあります。

現在の編集著作権の使われ方

現代では、編集著作権は印刷業界で以下のような形で活用されています:

  • 雑誌編集:記事の選択や写真の配置、全体のレイアウトに創作性がある場合、編集者や出版社が編集著作権を取得します。
  • カタログ制作:商品情報の順序やページ構成に独自性が認められる場合、編集著作権の対象となります。
  • 電子書籍やデータベース:電子媒体における情報の整理や構成でも、創作性があれば保護されます。
  • 学術資料や辞書:文献やデータをまとめて出版する場合も、編集者の工夫に基づく権利が発生します。

また、近年ではデジタル技術の進化により、電子書籍やウェブサイトにおける編集著作権の重要性が増しています。特に、オンラインカタログやデジタルデータベースでは、膨大な情報を整理・分類する能力が求められ、それが創作性として評価されることがあります。

編集著作権の利点と課題

編集著作権には以下の利点があります:

  • 編集者の権利保護:編集者の努力や創意工夫が正当に評価され、無断利用を防ぐことができます。
  • 出版物の価値向上:独自性のある編集物が作られることで、読者にとって魅力的な作品が提供されます。
  • 情報整理の促進:多様な情報を効果的に整理するインセンティブとなります。

一方で、以下の課題も存在します:

  • 創作性の判断:編集物がどの程度独自性を持つかが、明確に判断されない場合があります。
  • 元の著作物との調整:編集著作物を作成する際、元の著作物の著作権者との契約が必要です。
  • デジタル時代の対応:インターネット上での無断複製や改変が増える中で、編集著作権の適切な管理が求められます。

まとめ

編集著作権は、情報や素材を整理し、新たな価値を創出する編集者を保護するための重要な権利です。その歴史は出版業界の発展とともに築かれ、現在ではデジタル時代の情報管理においても重要性が高まっています。印刷業界では、編集著作権を適切に活用し、創作性を尊重した出版物を提供することで、顧客や読者の満足度を向上させる取り組みが進められています。

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