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印刷業界におけるポリエステルフィルムとは?

印刷業界における「ポリエステルフィルム」(ふりがな:ぽりえすてるふぃるむ、英:Polyester Film、仏:Film Polyester)とは、ポリエステル樹脂から製造された薄いフィルムのことを指します。このフィルムは、高い透明度、耐熱性、寸法安定性、そして優れた機械的強度を持つため、印刷やラミネート、パッケージングなどさまざまな用途で広く利用されています。ポリエステルフィルムは、特に高品質な印刷や長期保存が求められる印刷物に最適です。


ポリエステルフィルムの概要

ポリエステルフィルムは、ポリエチレンテレフタレート(PET)と呼ばれる合成樹脂を原料とし、フィルム状に加工されたものです。高い透明度と優れた耐久性を持つため、包装材料としてだけでなく、印刷業界でも重要な役割を果たしています。印刷工程では、オフセット印刷やグラビア印刷、スクリーン印刷などに対応しており、光沢のある仕上がりや高解像度の印刷が求められる製品に使用されています。

このフィルムは、耐熱性と寸法安定性に優れており、印刷後の熱ラミネート加工やホットスタンピングにも適しています。また、湿気や化学薬品にも強いため、屋外広告や高耐久性が求められるパッケージングにも広く利用されています。

ポリエステルフィルムの仕組みと特徴

ポリエステルフィルムの特徴は、以下の通りです:

  • 優れた透明性と光沢:印刷物の鮮明さを高め、色の再現性に優れた仕上がりが可能です。
  • 高い寸法安定性:温度や湿度の変化に対して収縮や伸びが少なく、印刷物の品質を維持します。
  • 耐熱性と耐久性:耐熱性が高く、熱加工工程に適しているため、ラミネートやホットスタンプなどの後加工に対応可能です。
  • 耐薬品性:化学薬品や湿気に強いため、長期保存や屋外での使用に適しています。

これらの特性により、ポリエステルフィルムは印刷業界だけでなく、電子部品の絶縁材や工業用材料としても広く活用されています。

ポリエステルフィルムの歴史と由来

ポリエステルフィルムの歴史は、1950年代にイギリスのICI(インペリアル・ケミカル・インダストリーズ)によって開発されたことに始まります。当初は工業用の絶縁材として利用されていましたが、その後、優れた透明度と強度が評価され、印刷業界にも採用されるようになりました。

1970年代には、日本の大手化学メーカーが生産技術を向上させ、フィルムの均一な厚みと高い品質を実現。これにより、ポリエステルフィルムは印刷や包装業界での利用が急速に拡大しました。現在では、環境への配慮からリサイクル可能なポリエステルフィルムも開発されており、持続可能な素材として注目されています。

現在のポリエステルフィルムの利用と進化

現在、ポリエステルフィルムは印刷業界において多岐にわたる用途で使用されています。特にパッケージング、ポスター、ラベル、ステッカーなど、長期間の耐久性が求められる製品に適しています。また、デジタル印刷の普及に伴い、高解像度での印刷が可能なフィルムの需要が増加しています。

さらに、環境に配慮した製品として、リサイクル可能なポリエステルフィルムや、生分解性のフィルムの開発も進んでいます。これにより、従来のプラスチック製品に代わるエコフレンドリーな選択肢として、多くの企業が採用を進めています。

ポリエステルフィルムの利点と注意点

ポリエステルフィルムを使用することで、以下の利点が得られます:

  • 高い耐久性:物理的な強度が高く、印刷物の長期使用に適しています。
  • 美しい仕上がり:高光沢で透明度が高いため、印刷物の見栄えを向上させます。
  • 多用途性:パッケージから広告まで、さまざまな印刷用途に対応可能です。

一方で、以下の点に注意が必要です:

  • コスト:ポリエステルフィルムは他のフィルム素材に比べてやや高価なため、予算を考慮した上での使用が求められます。
  • 静電気:ポリエステルフィルムは静電気を帯びやすいため、印刷時にほこりやゴミが付着しないよう注意が必要です。
  • 環境負荷:一部のフィルムはリサイクルが難しいため、環境への影響を考慮した素材選びが重要です。

まとめ

ポリエステルフィルムは、その優れた物理的特性と多用途性から、印刷業界において重要な素材として広く使用されています。歴史的に見ると、その耐久性と美しい仕上がりが評価され、さまざまな用途に採用されてきました。今後は、さらに環境に優しい製品の開発が進む中で、持続可能な印刷材料としてのポリエステルフィルムの需要が増加していくことが期待されています。これにより、印刷物の品質向上と環境負荷の軽減が同時に実現できるでしょう。

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