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印刷業界におけるプレスコートとは?

印刷業界における「プレスコート」(ふりがな:ぷれすこーと、英:Press Coating、仏:Revêtement sous Presse)とは、印刷物の表面を保護し、光沢や耐久性を向上させるために施される加工技術の一つです。この加工は、主にインラインプレスで行われ、印刷物に特殊なコーティング剤を塗布してから圧力をかけて定着させます。プレスコートは、印刷物の美観を向上させると同時に、耐摩耗性や耐水性を強化するため、パッケージや高級カタログ、ポスターなどで広く活用されています。


プレスコートの概要

プレスコートは、印刷物の表面に特殊なコーティング剤を塗布し、その後圧力をかけて仕上げるプロセスです。この工程により、印刷面が滑らかで光沢のある仕上がりになります。従来のニス塗りやラミネート加工と異なり、プレスコートは印刷工程と同時に行えるため、生産効率が高いことが特徴です。

さらに、プレスコートは印刷物の保護効果もあり、摩擦や汚れから印刷面を守る役割を果たします。そのため、パッケージ、ポスター、パンフレット、カタログなど、耐久性や見栄えが求められる印刷物に多く使用されています。

プレスコートの仕組みと特徴

プレスコートのプロセスは、以下のステップで構成されます:

  • 塗布:印刷物の表面にコーティング剤を均一に塗布します。このコーティング剤は、光沢や耐久性を向上させるための特殊な樹脂成分が含まれています。
  • 圧着:コーティング剤を塗布した後、高圧のプレス機で圧力をかけて表面に定着させます。この圧着によって表面が滑らかになり、光沢が増します。
  • 乾燥:最後に、乾燥工程を経てコーティングが完全に固着します。この工程により、耐水性や耐摩耗性が向上します。

プレスコートは、インラインで印刷工程と同時に行えるため、追加の加工工程を省略でき、コスト削減に寄与します。また、エコフレンドリーな水性コーティング剤が主流となっており、環境への負荷も軽減されています。

プレスコートの歴史と由来

プレスコート技術の起源は20世紀後半に遡ります。当初は、印刷物の保護や光沢仕上げのためにニス塗りが主流でしたが、その後、より効率的かつ高品質な仕上がりを実現するためにプレスコートが開発されました。

この技術は、特にパッケージング業界で広く普及しました。消費者製品のパッケージは、見た目の美しさだけでなく、流通過程での耐久性が求められるため、プレスコートが最適な選択肢とされました。また、1980年代以降、プレス機の技術進化により、インラインでのプレスコート加工が可能になり、印刷工場での生産性が飛躍的に向上しました。

現在のプレスコートの利用と進化

現在、プレスコートは商業印刷物からパッケージまで、幅広い用途で活用されています。例えば、高級なカタログやブックレット、化粧品パッケージでは、その光沢と耐久性が求められます。また、環境問題への対応として、溶剤を含まない水性コーティング剤が多く採用され、エコフレンドリーなプレスコート技術も進化しています。

さらに、UV硬化型のコーティング剤を使用することで、乾燥時間を大幅に短縮し、即時の仕上げが可能になっています。この技術革新により、短納期での大量生産が必要な現代の印刷ニーズにも応えられるようになっています。

プレスコートの利点と注意点

プレスコートを利用することで、以下の利点が得られます:

  • 高品質な仕上がり:印刷物の表面に光沢が増し、見栄えが良くなります。
  • 耐久性の向上:摩擦や水分からの保護効果があり、長期間の保存に適しています。
  • 生産効率の向上:印刷工程と同時に加工できるため、時間とコストの削減が可能です。

一方で、以下の点に注意が必要です:

  • コスト:高品質なコーティング剤やプレス機の導入には初期費用がかかります。
  • 環境配慮:溶剤型のコーティング剤はVOC(揮発性有機化合物)を含むため、環境への影響を考慮する必要があります。
  • 適切な設定:圧力や塗布量の設定が適切でないと、コーティングムラや仕上がり不良の原因となります。

まとめ

プレスコートは、印刷物の美観と耐久性を向上させるために不可欠な加工技術です。その歴史は比較的浅いものの、技術の進化に伴い、印刷業界において重要な役割を果たしてきました。今後も、エコロジーへの配慮や効率化の進展により、さらに多様なニーズに対応したプレスコート技術が求められるでしょう。プレスコートを活用することで、印刷物の品質向上とコスト削減を同時に実現することが可能です。

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