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クラムシェルとは?

印刷業界における「クラムシェル」(ふりがな:くらむしぇる、英:Clamshell Press、仏:Presse Coquillage)とは、開閉式の構造を持つ印刷プレス機の一種です。この機械は、上部と下部のプレートが貝殻(クラム)状に開閉する仕組みを持ち、主に箔押しやエンボス加工、ダイカット(型抜き)などの特殊印刷加工に用いられています。現在でも、手作業による細かい印刷加工が必要な場面で活躍しています。


クラムシェルの概要と仕組み

クラムシェルは、貝殻のように上下が開閉する構造が特徴の印刷プレス機です。印刷や加工の際に上部プレート(プレス機の一部)がヒンジで接続された下部プレートに対して「開閉運動」を行い、用紙を挟み込むことで印刷や加工を行います。クラムシェルの構造は、シンプルでありながら強力な圧力をかけられるため、箔押し、エンボス加工、ダイカットといった特殊加工に向いています。

この機械は、通常のインクを用いるオフセット印刷やデジタル印刷とは異なり、圧力を直接的にかける加工が得意です。クラムシェルの操作性や精密さから、精緻な加工が求められる印刷物の製造に適しています。現在でも、クラフト印刷やパッケージ印刷で、細かな仕上がりが求められる場面において活躍しています。

クラムシェルの歴史と発展

クラムシェル型プレス機の歴史は、19世紀から20世紀初頭にさかのぼります。当時の印刷業界では、箔押しや型抜き加工を効率的に行うための機械が求められていました。この需要に応える形で、シンプルな構造で圧力をかけやすいクラムシェル型プレス機が登場し、人気を博しました。

「クラムシェル」という名称は、その開閉動作がまるで貝殻(クラム)のようであることから命名されました。この機械は、主に小規模な印刷業者や手作業による高精度の印刷加工を行う職人によって使用され、特に金箔や銀箔を使った箔押し加工において精密で美しい仕上がりを実現しました。

20世紀後半には、オフセット印刷やデジタル印刷の普及により、大量生産に適した印刷技術が主流となりましたが、クラムシェル型プレス機はその独自の加工精度と手作業ならではの風合いを生かして、少量生産や高級印刷物の製造で引き続き活用され続けています。

現在のクラムシェルの用途と重要性

今日の印刷業界においても、クラムシェル型プレス機は依然として特殊な印刷加工において重要な役割を果たしています。特に、高級パッケージや招待状、特別な装丁が施された書籍などの製作において、クラムシェルの精緻な加工が重宝されています。また、手作業が必要なアート作品やクラフト印刷の分野でも、クラムシェルはその卓越した加工精度によって使用され続けています。

さらに、近年では環境に配慮した印刷が求められる中、クラムシェル型プレス機は電力を多く消費しない機械としても再評価されています。デジタル化が進む現代において、少量かつ高品質な製品を求めるニーズが増えたため、クラムシェルはアナログ印刷技術の一環として再び注目を集めています。

まとめ

クラムシェル型プレス機は、印刷業界における特殊加工の分野で重要な存在です。その貝殻のような開閉構造と高精度の圧力加工により、箔押しやエンボス、ダイカットなどの精密な印刷加工を実現します。歴史的には大量生産向けではなく職人的な作業に適した機械として発展してきたクラムシェルですが、現代でもその独自の加工技術が活かされ、印刷物に美しい仕上がりを提供し続けています。

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