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クリアコートとは?

印刷業界における「クリアコート」(ふりがな:くりあこーと、英:Clear Coat、仏:Vernis Transparent)とは、印刷物の表面を保護し、光沢や質感を調整するために施される透明なコーティングです。この処理は、印刷物の耐久性を向上させるだけでなく、ビジュアルの高級感や魅力を引き出す役割も担います。主に包装、出版、広告業界で広く用いられ、印刷物を傷や湿気から保護するために欠かせない工程です。


クリアコートの概要

クリアコートは、印刷物の仕上げ工程において、表面に透明なコーティングを施す技術です。この透明な層により、印刷物は外的なダメージに強くなり、また光沢感やマット感といった表面効果をコントロールすることができます。たとえば、高級パッケージや雑誌の表紙では、鮮やかな光沢を与えてビジュアルを引き立たせたり、マット仕上げで落ち着いた雰囲気を演出したりするためにクリアコートが使われます。

クリアコートの目的は、視覚効果の向上だけでなく、インクの剥がれや傷、汚れから印刷物を保護する点にもあります。そのため、特に多くの人が触れる包装、広告、名刺、ポスターなどで利用されています。また、UVコートや水性コートなど、用途や環境に応じた多様なコーティング手法が存在します。

クリアコートのプロセスと手法

クリアコートのプロセスは、通常、印刷が完了した後に行われます。代表的な手法には、UVコート水性コート、およびオフセットコートがあり、用途や仕上がりの質感によって使い分けられます。

UVコートは、紫外線(UV)を当てることでコーティングを瞬時に硬化させ、非常に光沢のある仕上がりが得られます。高級感のあるパッケージや広告印刷物などで使用されることが多く、耐久性にも優れています。

一方、水性コートは、環境に優しい水溶性のコーティング剤を使用し、比較的低コストで仕上げることが可能です。こちらは速乾性と耐摩耗性が求められる書籍やカタログ、パッケージなどに適しています。

さらに、オフセット印刷で使用するインラインコートでは、印刷機の工程で同時にコーティングが施されるため、生産性が高く、大量印刷に適しています。これにより、表面の保護と印刷品質の向上が効率的に実現されます。

クリアコートの歴史と技術の進化

クリアコートの歴史は、印刷技術が発展し、印刷物に対する保護や視覚効果の需要が高まる中で進化してきました。20世紀初頭、光沢感を持たせるニスの塗布が一般的になり、印刷物に耐水性と耐摩耗性を持たせる試みが行われました。しかし、初期のコーティングは環境負荷が大きい溶剤ベースのものであったため、次第に水性の環境に優しい技術が登場しました。

1980年代にはUV硬化技術が導入され、光沢を持たせながらも耐久性が高く、迅速に乾燥できるコーティングが可能になりました。これにより、高級なパッケージや雑誌の表紙などでの使用が広がり、印刷物の品質と見栄えの向上が大きく進展しました。

現在では、環境に配慮した水性コートが一般化し、また印刷物の高品質化に応じて、マット仕上げやサテン調の仕上げなど、さまざまな質感の選択が可能になっています。さらに、抗菌性を持たせたクリアコートも登場し、食品パッケージや医療関係の印刷物での利用も増えています。

現在のクリアコートの重要性と使用例

クリアコートは、現代の印刷業界で多様な分野において欠かせない工程となっています。特に、ブランドイメージを強調したいパッケージデザインでは、光沢やマット感を用いて視覚的なインパクトを与えることが重要視されます。化粧品や高級食品のパッケージでは、コーティングの質感が商品イメージに直結するため、慎重な仕上げが求められます。

また、ビジネス用の名刺やパンフレットでも、クリアコートによって耐久性と上質感が強調され、使用者の印象を高める効果が期待されます。抗菌クリアコートを施したパンフレットやパッケージは、特に衛生面が求められる医療業界や食品業界で注目されています。

まとめ

クリアコートは、印刷物の保護とデザインの質感を向上させるために不可欠な工程です。歴史的に進化を遂げてきたクリアコート技術は、現在では環境に配慮した水性コートや高耐久のUVコートなど、用途に応じた選択肢が増え、幅広い印刷分野で活用されています。クリアコートは、印刷物の耐久性と視覚的魅力を高め、今後も多くの印刷物に求められる重要な要素であり続けるでしょう。

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